$雑食食堂

★★★

「ノーカントリー」のジョエル&イーサン・コーエン監督が、不幸にばかり見舞われる中年男の姿をブラックユーモアたっぷりに描いたコメディ・ドラマ。舞台は1967年のアメリカ中西部。平凡で真面目な人生を歩んできた大学の物理学講師ラリーは、ある日突然、長年連れ添った妻から別れ話を切り出されてしまう。それ以来、周囲では想像を絶するやっかいな出来事が次から次へと起こりはじめる。(参照:http://eiga.com/movie/55320/)


コーエン兄弟の映画のあの独特な「間/言葉遣い」のギャグは正直人を選ぶと思う。

僕も正直英語圏の人間ではないので作中の言葉遊びを100パーセント理解できているわけではないが、登場人物の大げさな身振り手振りによる会話や挙動は観ているだけでも面白い。

感覚的には友近となだぎ武の例のギャグに似ている。

かと言って万人受けする「笑い」が存在するのなら、世の中にこんなにお笑い芸人が存在するわけがない。僕が大好きなコーエン兄弟のギャグが嫌いな人にとってはただただ不快な2時間を過ごす羽目になってしまう作品だ。

しかしコーエン兄弟のギャグは個人的に物語の集束とともに段々飽きてくるのも事実だ。(そういう意味では前作、『バーンアフターリーディング』は「ギャグの面白さが」結構長続きしていたように思う)
今作もご多分に漏れず物語に「オチ」をつけるためか段々ギャグが寒くなってきた。特に主人公の夢オチが繰り返されるとあるシークエンスにはウンザリさせられた。

でもってそこまでギャグの精度を鈍らせてまで披露したオチがかなり?で拍子抜けした。「えっ!?これで終わっちゃうの??」的なオチ。

しかし上映開始から3分の4までは10分に一回は主人公の受難と周りで起こる理不尽な事件に笑わさせてもらったし、個人的には満足した一本。

『ノーカントリー』は好きだけど、『ビックリボウスキ』『ファーゴ』は嫌いという方は要注意。