ブログ名が日本語と言う事もあって、僕の名前も日本名にしました。
とはいっても以前のハンネを無理矢理訳しただけですが。

ついにPart4にして最終回。
究極の自己満企画もこれにて終焉となります。前回8位まで書いてしまい、最後の記事がBEST7という何とも中途半端なランキングになってしまいましたが、理由は後述します。

ではでは


7位
ECD『TEN YEARS LATER』
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なんで前回8位までにしたのかと言うと、この作品とやけのはらのアルバムが「日本語ラップシーン」という潮流からは少し外れているからなんですね。かといって読まれる方にこの2作品を「シーンから外れた作品」という単純なくくりで一緒くたにされて欲しくない為、切り離して記事にしているわけです。(決して更新が遅い事の言い訳じゃ無いですよ!!)

やけのはらが過ぎゆく思い出を綺麗な結晶としてアルバムと言う形に残したのであれば、ECDはまるでブログのように現在進行形の自分を描き出して、アルバムという作品を作り上げています。(ちなみに彼は自身のブログで家計簿を公開しています)

警備員の仕事を兼業しながらのミュージシャン活動のため「(仕事があるから)遠くでライブ活動は出来ない」と語るM1、家族を養いながらのそんな生活を通勤中の自身の大きいバッグと重ね合わせ、「放りだしたらまた一人だから」と過酷な労働より家族を選び、孤独を恐れるM3、麻薬にも溺れる事が出来ず酒に逃げ、アル中になった自分を「トニー・モンタナにはなれなかった」と自嘲するM9…歌詞のほとんどが陰鬱な彼の生活/過去を描き出し、そこにはひたすら「弱い自分の姿」をさらけ出す男の姿があります。しかもざらついたアルバムの音質が更に悲愴さを増幅させています。

最近流行りのスワッグとは真逆を行くスタイルのように見えますが、M1ではDJとのライブセッションを「8年なのに未完成」と衰えない向上心を見せたり、レコーディングを一発録りで済ます様を描写してプロフェッショナルぷりをリスナーにアピールし、「ラップミュージック/いまだに買ってるCD/自分で作って売ってる音楽」(M-8より)と歌う彼は「音楽(をやり続ける事)」には一筋の希望を見出しているように思えます。

「しばられる時間なくちゃ一家離散」(M-1より)

今日も家族のためにお仕事、頑張ってください。


6位
L-VOKAL『Lovin'』
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幅広い活動がそのまま作品に反映されたかのようなアルバム。
客演にはSEEDAやKREVA、そしてシーダとのビーフも記憶に新しいVERBALまでが参加しているという、今年頭の話題作だったのではないでしょうか。
特にバーバルのラップが明らかにシーダをディスした内容で(今更っ!)シーダはそれを聞いて自身のバースを書き直したとかしていないとか…

更に当ブログではクレバがヒルクライムをディスったのでは??なんて勘繰り記事を載せました。
その後リリースされたヒルクライムのシングル『ルーズリーフ』でもアンサーを匂わせるラインがあったりして…

とにかく、ヒップホップ特有の下世話な雰囲気が充満した問題作である事は間違いないです。
音楽の聴き方としては少し純粋さが足らないのかもしれませんが、これをエルボーカルが確信犯的に組みこんでいたのだとしたら相当な策士じゃないか…なんて勘繰って聞くのも結構楽しいもんですよ。

本作はバックロジック提供のトラックが従来より少なく(1曲のみ)、代わりにDOC-DEEがアルバムのほぼ全トラックを手掛けていますが、シンセ音を多用したトラックが多くどれも似たり寄ったりな印象が強いところが唯一の
欠点でしたね。

しかしエルの歌詞のトピックが幅広い事もあって(言葉遊びも面白い)しばらく聞けば耳に馴染むと思います。
年明けに出される『Livin'』で彼のアルバムリリースは最後とブログでアナウンスされていますが果たして…

それよりブリンブリンキャンディーが3000円って本当ですかね?曲付きとはいえそれなら曲だけ売ってくれよって感じです。


5位
ham-R 諸作
当然ですが『諸作』と言うタイトルのアルバムではありません…今年に入ってミックスアルバム2枚、トラックメイカーYGSPとのコラボ1枚、ミニアルバム1枚という驚異的な作品数を発表したham-R。

それが全てフリーダウンロードなのだと言うのだから凄い話です。その一連の動きをまとめて、「5位」とさせていただきました。

『Stay hungry stay foolish』
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9月に発表された1枚目のミックステープ。ダウンロードはここから!


『Seven Demons』
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10月に発表された7曲入りのミニアルバム。ダウンロードはここから!


『FUTURE VINTAGE』
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11月に発表されたトラックメイカーYGSPとのコラボアルバム。ダウンロードはここから!


『Milestones』
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11月27日に発表されたミックステープ。ダウンロードはここから!

見てもらえば分かる通り、これらの作品、ひと月ごとに発表されています。
『Stay~』の曲中で「音源だったら月1で上げてやる」といった趣旨のラインがありまして、「月1なんてどう考えても無理でしょー」と思っていたら余裕で有言実行したという…凄まじいワーカホリックっぷり。
特に『Future~』はアルバム発売直前のZONE THE DARKNESSやアルバム発売が待ち遠しいSKY-HI、AKLO、TYC、JON-Eなど、どうやったら無料アルバムにこれだけの客演を呼べるのか…というそうそうたるメンツ。

とにかく無料なんだから聞かない手は無いですよね?


4位
S.L.A.C.K『SWES SWES CHEAP』
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『BUDA SPACE』に続くアルバムはこれまた1500枚限定と言うドSな販売方法で今でもネットでは高額で販売されています。
スラックの歌詞は基本的に「上昇志向」を捨てている、ある意味達観したような価値観のリリックが魅力の一つとして挙げられますが、今作ではDJ MITSU THE BEATSのアルバム収録の「孤独少年」の歌詞のような、感傷的なラインが多いです。
曲名からして「この道はどこへ」や「夢と現実の間」といったセンチメンタルな雰囲気が伝わってきます。

しかしやりきれない憂鬱を抱えながら踊っているかのようなM-4と9は同年代(というか僕の方年下なんですが)としてはとてつもなく共感できます。現実逃避させてよ、って気持ちは痛いくらい分かります。未来に明るい希望が見いだせないこの現状から。

だからこそ、そんな事を言いながらも創作活動に打ち込む、すなわち仕事を続ける彼に同年代は知らず知らずのうちに励まされているのではないでしょうか。
メキメキ上がるライブパフォーマンスのスキルも素晴らしい。この間の渋谷でのライブは本当に凄まじかった。


3位
RHYMESTER『マニフェスト』
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まずヒップホップを聞くきっかけが彼らでした。
そして活動休止を経て出されたアルバムはMummy-Dではなく、外部プロデューサーばかりを呼び寄せたトラックのみでラップするという(ライムスターの歴史でいえば)異色作。
「ONCE AGAIN」と「ラストヴァース」という暑苦しく素晴らしい曲にサンドイッチされた曲達は確かに二人のラップと外注トラックが若干ちぐはぐな雰囲気なものもあります。しかも宇多丸は以前より歌詞が理屈っぽくて以前の彼が好きじゃない人は益々嫌いになる可能性もあります。

しかし19歳(当時)のビートメイカーが作った変則なトラックに大御所が臆することなく乗っかるんです。

「K.U.F.U」では今までにないくらい噛んで含めるような歌詞の分かりやすさでラップするんです。

今作では彼らは老いに抗うようにラップするんですが、「必死さ」は「スキルと情熱」でスマートに覆い隠す姿勢がたまらなくカッコいい。
タワレコでも見事ヒップホップ年間チャート1位!!ファン層が広がってきた今後の展開が楽しみすぎます。


2位
環ROY『BREAK BOY』
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「村社会」についての言及であれば、届く範囲は村社会に留まってしまう。
環ROYの今までの活動はそれこそ「村の外」へ向けて発信していたはずなのに、今作であえて彼は「閉じた世界」に向かって一石投じました。

「鎮座DOPENESSみたいに大人じゃねー」なんて悪態をつきながら。

それこそ鎮座のように見て見ぬ振りをして音楽活動も出来たであろうに、しがらみを無視して出てきた言葉に震えました。(鎮座と環、どちらのスタンスが正しいといった事ではないですが)
しかし記事でも書いたようにやはり日々の生活などをトピックとして取り上げる曲の方がわくわくさせてくれます。

考えさせられたり、わくわく出来たり、色々な魅力がつまったアルバムです。


1位
SEEDA『BREATHE』
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文句なしの1位。
先ほど環ROYの項で「考えさせらたり~」と書きましたが、その点でも今年一番魅力的なアルバムでしたし、WWWでのライブでのエンターテイナーっぷりも凄かった。

歌詞は最早歌詞カードを見る必要もないくらい聞きやすいし、韻の踏み方もテクニカルで面白い。
そういえば今回は歌詞カードの誤植が無かった気がします 笑

ライブ中のMCがアレ過ぎて「これじゃ俺のライブスぺシャで放送できないよー!!」と言った時は爆笑しました。

詳しい感想は記事で。



…さて、長い特集もこれで終わりです。最後まで読んでいただいた方、貴重なお時間を割いてのご観覧、感謝感謝です。

宜しければ「お前これ聞いた??」なんて質問や皆さんのランキングだったりを教えていただければ嬉しいです。

実は僕就活生なんで今年の更新はこれでおしまいにしようかと思っています。
コメント欄にはお返事していきますが、就活に関して何にもしていない状態なのでそろそろ現実に帰ろうかと思いまして笑

それではよいお年を。
そして来年も良い音楽に会えますように。