★★★★☆
前作から1年という短いスパンで発売されたAA=のセカンドアルバム。2010年6月9日発売。
今作は事前にオフィシャルサイトに発表された「#2 Story」という近未来的な舞台設定に則ったアルバムコンセプトで、アルバム内容の補完のためにもこの「Story」は必読となる。アルバムの冒頭曲である「2+2=4」は、公言しているかは不明だが、前作に引き続きジョージオーウェルの小説、『1984』からの引用かもしれないし、日米安全保障協議委員会の通称、「2+2」ともとれるし、同じく『1984』から引用しているRadioheadの曲名のパロディともとれる。
様々な解釈の可能性を残し、判断はリスナーに委ねる。前作同様TAKESHIのスタンスは表現者として個人的にはとても心地よい立ち位置ではないかと思う。
楽曲に関して言及するのであれば前作のような突き抜けるようなポップさは「meVIR」や「F」以外はなりを潜め、ダークなトーンがアルバムに統一感を与えている。前述した近未来的な設定も相まって、便利さを追求したばかりに「幸せ」の価値観や、アイデンティティが崩壊していく未来を危惧する歌詞が心に刺さる。
マイスペースなどで先行公開された「GREED」をはじめハードなトラックが並ぶが、持ち前のTAKESHIのセンスとシンセの多用で、へヴィロックにありがちな金太郎飴的な一本調子のサウンドにならずに済んでいる。
「2010 DIGItoTALism」や「BASS JUNKEES」、「FREEZE」などを聞き比べてもらえれば一聴瞭然だろう。
今回は前作で多くのリスナーが指摘したTAKAのパワー不足も改善され、随所でカッコいいデスヴォイスを聞かせてくれる。いや「GREED」なんかはほんと鳥肌もの。
前作と比べるとハードな側面ばかりが目立ちがちだが、攻めるところは攻めて、引くところは引くのがTAKESHIが天才たるゆえん。「四つ葉のクローバー」をモチーフに知らず知らずのうちに「幸福」を見逃しているのではないかとリスナーに問いかける「4 leaf clover」はアルバムの中盤を盛り上げる壮大なバラード。ノイズ音をバックに鳴らされる演奏とTAKESHIのボーカルが混然一体となり、あまりのエモーショナルさに軽い酩酊感を覚えるほど。
前作に比べると万人に進められるアルバムではないにしろ、聞けば聞くほど新たな好きなところが見つかる聞きごたえのあるアルバム。
個人的にはこちらの方が好きかも。
#2/AA=
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