書家・瀬野大輔さんと、和紙の作品制作 | 印刷職人のしごとば

書家・瀬野大輔さんと、和紙の作品制作

本日は、和紙を使った作品制作の話題をお届けします。

去る11月15日・16日、鎌倉・建長寺で気鋭の若手書家・瀬野大輔さんの個展「虚穹」が開催されました。


個展1


瀬野さんのホームページはコチラ

従来の書の世界にとどまらず、空間全体を使った新しい表現に挑戦されている瀬野さん。同じ京都ご出身の瀬野さんを応援するため、サンエムカラーも協力させていただきました。




今回、瀬野さんからご相談いただいたのは、
「展覧会用に、ご自身の写真作品をA1サイズの和紙に出力したい」
という内容。
作品は、モデルの肌に書でボディペイントを施したポートレイトです。

作品1 作品2

インクジェット出力向けに流通している和紙風の用紙ではなく、書の作品展に堪えうる本物の和紙を使うことが条件です。
しかし、一般的に和紙は繊維が粗く、にじみなどが発生しやすいために出力に向きません。


そこで、当社と同じく京都市南区に拠点を置く名匠・西川紙業さんの協力で、インクジェット出力に堪える和紙を開発することに。
こうして、瀬野大輔サンエムカラー西川紙業3者のコラボレーションによる作品制作がはじまりました。




― 会期の迫る某日、西川紙業さんから特注和紙が届きました。

和紙1


和紙2


厚手で、和紙独特の手漉きの風合いがあります。

これなら迫力のある作品が出来そうですが、気になるのはインクジェット適性。インクジェット出力に堪える特殊加工が施されているのですが、はたして・・・





さっそく、高品質のジークレー版画にも用いる当社のインクジェット機で出力。
和紙に対応し、狙い通りの引き締まった色を出すために、テスト出力を繰り返して調整済みです。

和紙セット


出力完了

紙詰まりもなく、5分ほどで完了。

仕上がりはどうでしょうか!?
プロジェクトリーダーである営業担当Mがチェック。
画像処理・出力を手がけた製版のYさんも見守ります。

仕上がりチェック


作品


心配していたにじみもなく、肌や髪の質感まで和紙の上にバッチリ再現できています。

ここで意外な発見。今回の和紙の質感が人の肌の質感にとても似ているんです。
じっくり見ていると紙か肌か分からなくなってきそうです。

発送前


出来たてほやほやの作品。これから鎌倉に発送します。




・・・そして、いよいよ瀬野さんの個展へ。





直筆の書が並ぶ中でも見劣りしない、凛とした作品に仕上がりました。
2日間の会期でなんと延べ2000名が来場されたとのこと!
大盛況のうちに閉会となりました。
瀬野さん、おつかれさまでした!


和紙を使った印刷技術の開発、今後もさまざまな展開が期待できそうです。
まだ世の中にない、こんなものを作りたい!というアイデアをお持ちの方は、
ぜひ一度サンエムカラーにご相談ください。

サンエムカラーのホームページはこちら