シリーズものです。初めての方はこちらからどうぞ~。
手術をした日の午後。
傷はまだまだ痛いものの、お手洗いに行くために
起き上がったりもできるようになった。
ただし、その時は必ず看護師さんを呼ぶように言われていた。
そして「その時」が来たので、
言われた通り看護師さんを呼んでお手洗いに行きたい旨告げると
なんと、
ある容器を用意するので、ベッドの上でお願いします
と言われる。
む、無理-!![]()
この6人部屋で?
カーテンで仕切られただけの、開放感あふれるこの空間で?
しつこいようですが、嫁入り前のオナゴ!
昔、北朝鮮から脱北して韓国へ行った人が
韓国のお手洗いがあまりにも綺麗で、
「ここはどう考えても、お手洗いだと思えない」
と、どう頑張っても用を足せなかった、
というエピソードをテレビで話しているのを聞いたことがあった。
私もこんなきれいなベッドの上じゃ無理だな、と思った。
何故か手に取るようにわかる脱北者の心理。
「どうしてもお手洗いに行きたいです、ここじゃ無理です」
と切に訴えると、
それではといって車椅子を持って来てくれた。
自分的には、点滴がジャマということはあっても
ゆっくり歩いたり、ましてや車椅子に乗っていれば、
歩行も全く問題ないような気がしてたけど
何故ベッドの上を勧められたのかというと、説明はこうだった。
全身麻酔というのは体全体の器官に行き渡っている。
手術をしたその当日は、それぞれの臓器の働きが鈍ったりしていて
上手く脳に酸素が行かないことがあり、
歩いていたと思ったら突然倒れたりしてしまう人がいる。
それ故、
勝手に歩くことは絶対にしてはいけません
と念を押される。
勝手に歩かないから、私をお手洗いに連れて行って。涙
21時の消灯の30分くらい前になると、
それぞれのベッドに看護師さんがやって来る。
夜の時間帯も、昼間の時間と同様に
患者一人一人に担当の看護師さんが決まっていて
朝まで責任を持って担当してくれることになっている。
その看護師さんが「本日夜勤担当の〇〇です」
と挨拶に来てくれて、顔合わせするという流れだ。
その日私の所に来てくれたのは、
K原さんという若い男性の看護師さんだった。
私の勝手な予想では25,6といった所。
身長が165cmくらいの、小柄な看護師さんで色が浅黒い。
私は、飲み食いがでいない体への栄養補給と、
ザックリ切った傷への痛み止めなど、
数種類の点滴を続ける必要があって、
それぞれの点滴パックを定期的に交換が必要だった。
K原さんは夜1,2時間おきにやって来ては、
小さなライトを片手に点滴をチェックしてくれていた。
残量はもちろんのこと、チューブが外れていないかとか、
つなぎ目がきちんと止まっているかとか、
点滴を落とす量は間違っていないか、などなど。
途中、私には点滴の落ちる量が多すぎたのか、
点滴を刺している右手の甲が物凄く痛くなってしまったことがあって、
我慢できなくなりK原さんに伝えると、
落ちる量を調節する部分を小児用のものに変えて、
ゆっくり少量ずつ落とすようにしたりしてくれた。
こうして誰かが定期的に管理してくれているというのは、
初めての手術だったこともあって、とても心強かった。
・・・が。
一つだけ。一つだけ言うと、
もちろん一生懸命やってくれている人に対して
そんなことは言うべきじゃないのかも知れないけど、
失礼は重々承知の上でなんですけれども、
でもでも、チラと言ってしまうと・・・
一つやりにくいことがあった。
K原さんには、実はとても頼みごとをしづらいのだ。
例えば、何か質問をしたりお願いをしたりすると
ため息交じりに「うーん」といって少し間を置く。
そして面倒くさそうに「わかりました」という。
断りはしない。
でも次回は頼めないな、という雰囲気を醸し出していた。
この日の夜、一つだけ問題を抱えていた。
これは結構深刻な問題で、
結局私はほとんど明け方までちゃんと眠ることが出来なかった。
限界が来るたびに、K原さんに助けを求めなければならない。
それがどうにもこうにも苦痛だった![]()

