IPMNに併存する膵がんについて調べていたところ、今回紹介する資料を見つけた。

 

この資料は、国内の医学系8研究施設共同による研究成果で、「IPMNから膵がんが発生する仕組み」の解明に関するものです(=米国の科学雑誌の掲載に先立ち、国内に2018.11.15付でプレスリリースされたもの)

 

資料:https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/docs/181115-1.pdf

遺伝子変異解析により新たな膵がんの発生経路を発見

-膵がんのリスク評価や治療法開発に期待-

 

研究の全体像を示すイメージ図が載っているので、それを参照すると、研究成果の概略が理解できると思います。概略以下の通り。

 

研究チームの成果: IPMN関連膵がん形成の新規ルートを発見

 (資料中のイメージ図参照のこと)

研究の対象となった試料は30人のIPMN関連膵がんで外科切除を受けた患者の手術材料から168か所の検体を採取、それら検体につき病理学的評価を行い解析した。

その結果、膵臓にできる腫瘍性の嚢胞「IPMN」患者にみられる膵癌の形成において、良性と悪性の中間的な状態を示す前駆病変が多彩な性質や特徴をもつ病変へと枝分かれしながら進化する、新しい発がん経路を発見した。

 

 従来、IPMNを背景とする膵がんはIPMNが直接がん化するIPMN由来がんと、IPMNとは別の場所の病変ががん化する併存がんという2種類に分けられていた。

今回研究チームはIPMNと同一起源の前駆病変が「枝分かれ」して、独立した病変を形成する新しい発がん経路(Branch-off)を発見した。

これにより、これまで臨床的に知られていたIPMNに隣接する併存膵がんの成り立ちが説明できるようになった。

そしてBranch-off経路で形成された膵がんでは無病生存期間が長く、再発までに要する時間が有意に延長していることがわかった。

    以上、ご紹介まで。