IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)は、将来がん化する可能性もある膵臓の腫瘍、
通常の膵臓がんを併存しやすいという特徴も持つため、
良性のIPMNがみつかった場合は、定期的に経過観察を行い、
異変がないか確認することが重要、と言われています。
医療現場におけるIPMN の治療,経過観察の方針は「IPMN国際診療ガイドライン」に沿って行われているそうです。
初版のガイドラインは2006年刊行、その後、2012年に改訂され、以前は切除適応とされたIPMNでも,治療方針をより保存的な方向に転換することとなったそうです。最新の改定は2017年に行われ、主に分枝型IPMNの切除基準と経過観察法が修正されたそうです。
情報源は下記URL、一部転載しました。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=11366
[特集:膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断と経過観察法]
(日本医事新報社 2018年12月29日発行)
経過観察の対象となる膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とは
膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)の治療,経過観察の方針決定に関して,2017年に「IPMN国際診療ガイドライン」(以下,GL)が改訂された1)。悪性度を評価する際に考慮するhigh-risk stigmata(HRS=ハイリスクの兆候)とworrisome features(WF=悪性の疑いを示す所見)の内容が見直された。HRSは,「造影される結節」が「造影される5mm以上の壁在結節」に変更された。またWFは,「造影されない結節」が「造影される5mm未満の壁在結節」に変更されるとともに,「血清CA19-9の高値」および「2年間で5mm以上の囊胞径の増大」が付加された。これにより,経過観察とすべき病態もIPMNの形状に応じて細かく設定されている(図1)。
1 主膵管型IPMN
悪性の頻度が高い(36~100%)とされ,原則手術が考慮される。主膵管径が5~9mmで,ほかの悪性予測因子を持たない場合は慎重な経過観察を許容されるが,観察の間隔を頻回とすることで,外科的治療の時期を逸することがないよう注意する。
2 分枝型IPMN
悪性の頻度が比較的低率(6.3~46.5%)とされ,2017年のGL改訂では切除適応の基準がさらに厳格となり,経過観察が選択されることが多くなっている。拡張分枝径が小型の場合は,観察期間を1年以上とすることも許容されているが,国内では通常型膵癌の併存を考慮し,6カ月に1度の経過観察を行う施設も多い。
以上