第10章 人権 

第40条 人権
 市民は、国籍、民族、性別、年齢、社会的地位、経済的環境、心身の状況に関わらず個人として尊重され、まちづくりの一員として、いかなる差別も受けない。
2 市は人権侵害(差別落書き、差別発言など)があった場合は、人権侵害を受けた市民および団体の名誉回復を支援するものとする。


【解説】
 人権侵害の具体的事例「差別落書き、差別発言」は、松阪市総合計画書第7章第1節「人権の尊重」から引用しました。
 最近では、目に見える人権侵害だけではなくインターネットでの匿名性を悪用した誹謗中傷が後を絶ちません。規制する法律の整備が待たれるわけではありますが、人の心を傷つける人権侵害は放置することはできません人権侵害を許さないまちづくり」を推進したいと思います。


第11章 教育

第41条 教育
 市民は、その能力・意欲に応じて、平等に学校教育および社会教育を受ける権利を持つ。
2 市内すべての地域で、市はこの権利を保障する。
3 子どもの教育について、学校・家庭・地域が互いに情報交換し、それぞれの役割を果たす中で、連携して、良質な教育が受けられるようにしなければならない。


【解説】
 将来のまちづくりを担うのは、言うまでもなく子どもたちです。だからこそ、良質な教育環境の保障が求められています。学校・家庭・地域が連携して、それぞれの役割を果たすことが求められています。
 私たちの住む松阪市は、合併により広域となりました。市内すべての地域で、教育格差が生じることなく、良質な教育が受けられるようにしなければなりません。そこで、第2項で「市内すべての地域で」という文言を入れました。また、それぞれの地域の特色を生かした学校づくりを積極的に進めていくことも必要です。
 最近ではモンスターペアレントと呼ばれる、学校に非常識な要求をする保護者が急増しています。また、自信を持って子どもに対応できず、学級崩壊をまねく教師も増えています。
 保護者は良識を持って子どもを教育し、教師は一定期間民間企業で研修するなど、社会経験を積むなかで問題解決能力を高めることが必要です。

第12章 法令順守

第42条 法令順守
 市政は公平かつ透明性を持って行われるものであり、まちづくりに関わるすべての市民及び市職員は法令を順守するなかで行動しなければならない。


第13章 条例の見直し

第43条 この条例の検討および見直し
 市は、この条例の施行後4年を超えない期間ごとに、検討および見直しをおこない時代の変化に対応したものに進化させていくものとする。
2 市は、前項の規定による検討の結果を踏まえ、この条例およびまちづくりの諸制度を見直すなど、必要な措置を講ずるものとする。


【解説】
 時代の変化に対応するため、検討・見直しを明記しました。市長の任期くらいが適当と考え、4年を検討見直し期間としました。



これで、条文および解説は完了です。

次回のブログからは、前文から順を追って、詳しく市民研究会での議論内容などを載せて行く予定です。

第9章 行政評価 

第36条 事務事業評価、外部評価
 市は、効率的・効果的な行政運営を図るため、行政評価に関する制度を整備し、実施しなればならない。
2 評価の実施に当たっては、行政の内部評価に加え、より客観的な評価を行うため市民参加の手法を取り入れた外部評価を行い、公表するものとする。


【解説】
 政策を実施した場合、その結果(良くなったこと、悪くなったこと、費用対効果等)をしっかりと検証しなければなりません。厳格な検証によって、将来の政策立案などに役立てることができます。
 政策の評価を行い、次の政策・施策・事務事業に生かしてこそより良い市政につながるのです。そのためには、行政内部の評価だけではなく、外部評価の手法を取り入れ、中立な立場で、市民の視点から評価することが必要です。


第37条 事務事業評価、外部監査
 市は公正で効率的な行政を保つため、専門性、独立性を有する外部監査人による監査を実施し公表するものとする。


【解説】
 平成9年の自治法改正により外部監査契約に基づく監査制度ができました。都道府県、政令指定都市はこの制度の運用が義務付けられています。また、その他の市町村は条例により実施することができます。つまり、条例さえ制定されていれば、監査請求を「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」という形で直接請求できるというわけです。外部監査の実現に向けて、条例を早急に制定する必要があります


第38条 施策の再評価
 時の経過によって、社会情勢や住民の要望などが大きく変化し、従来決定した施策に対する役割や効果について、再検討する必要があると認められる場合は、施策の再評価を行うものとする。


【解説】
 重要な政策、施策や多額の予算を伴うような事務事業については、特に事前の評価が重要です。時代が時とともに移り変わるように、人の考え方も変わってくるものです。市の政策においても同様です。ですから、長期間にわたる政策が、果たして現在も必要かどうかを常に考えていかなければなりません。そして、施策を再検討した結果、不必要と結論が出た場合は、ストップするという英断が必要です。


第39条 オンブズマン
 市民の意志が反映された市政の運営が「健全」かつ「適正」におこなわれるため、オンブズマン制度を導入し、市民の市政に関する苦情を、公正かつ中立な立場で迅速に処理し、市民の利益・権利の保護を行う。
2 オンブズマンは複数名とし、公募で選ぶことを原則とする。
3 市長は、人格がすぐれ、高潔で行政にすぐれた知識を有している複数のオンブズマンを市議会の同意をもって委嘱する。
4 市の職員以外の者をオンブズマンの職務遂行を補佐するため調査専門委員として委嘱する。
5 オンブズマンの職務執行については、市の全職員は協力し、聴取に正しく応える義務を負う。


【解説】
「市長に委嘱されたオンブズマンに、果たして市政のチェックができるのだろうか」という意見があり、公募で選ぶことを原則としました。
 公募の選考委員会は、学識経験者などの中立な委員で構成し、市長が選考に関与しなければ、透明性・中立性は確保されます。過去の実例として、三重県においては、朝日町の教育長の公募、津市立南が丘小学校の民間校長の公募があります。学識経験者を中心とした委員会で選考し、首長は選考に一切関与していません。このような実例を参考に、公募によるオンブズマンを設置したいものです。

第7章 政策決定の仕組み

第32条 政策決定の仕組み
 市は、地方自治法第2条第1項第4号の基本構想に即して基本計画を策定する。
2 市の基本構想及び基本計画の策定は、十分な市民参加の下で市を取り巻く環境や社会情勢等の変化を見据え、長期的視点から理論的、財政的な裏付けを持ったものとして行われなければならない。
3 市の個別計画は基本構想及び基本計画に基づき整合性をとった形で作成するとともに、その進捗状況を適切に把握し、その結果を公表しなければならない。


【解説】
 地方自治法第2条第1項第4号の規定により、市は、「基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」とされているため、基本計画について規定しました。
 市の基本構想と基本計画は、いわゆる総合計画に対する規定で、当然、市民参加の下に策定され、厳しい長期的視野に立った単なる「希望」ではない実行力のあるものとして、策定される必要があります。個別計画にあたっては、これらの上位計画との整合性および体系化が要求されます。


第33条 パブリックコメント(重要事項に対する意見聴取)
 市の執行機関は、特に重要な条例、計画の策定、変更については、その内容および手続を公表し、市民の意見を聴くものとする。
2 聴取された意見は、採否の結果とその理由を公表するものとする。


【解説】
 重要な政策の立案に際しては、その目的や主旨、内容その他必要な事項をあらかじめ公表し、専門家、利害関係者その他広く住民の意見を求める必要があります。今までは、一般市民の意見を聴く機会が保障されていなかったため、少なくともパブリックコメントという手法は必要であると考え、この条例に織り込むことにしました。


第8章 健全財政 

第34条 健全財政
 市は中長期的な展望に立って、総合計画および政策評価の結果を踏まえた予算を編成するとともに、最小の経費で最大の効果をあげられるよう、計画的・効率的な健全財政運営に努めなければならない。


【解説】
 限られた予算の中で、いかに計画的・効率的に市の運営をするかが最も大切です。


第35条 分かりやすい予算
市は、毎年度の予算および決算、その他の財政状況に関する情報を、市民が理解しやすいように、分かりやすく公表しなければならない。


【解説】
 納税者である市民に、市が財政状況を知らせることは当然で、理解しやすい形で市民に説明する義務があると考えます。