両親は不仲だった
幼心にもそのことに気づいていた
普段からしかめっ面で、酒を飲むと手が付けられなくなる酒乱の父を激高させないように、
母は常に父の言動に合わせ、顔色をうかがっていた
私や弟も、いつも父の顔色をうかがいながら過ごしていた
滅多にない休日、家族で出かける約束をしていても、
釣り好きな父は、約束を反故にして釣りに出かけてしまうことも多かった
家族の約束を反故にされた理由が100%父にあったとしても、
母はその原因をいつも別のことにすりかえた
私や弟が、父に刃向かわないように、父を怒らせる原因をつくらないために
よく使われたいいわけは
【あんたがぐずぐずしてたから】
【あんたがいつまでもごはんを食べ終わらないから】
【あんたが散らかすから】
など、ほとんど私のせいにされていたなと、今になって気づく
家族の楽しい時間を、私のせいでダメにしてしまったという罪悪感でいっぱいだった
そして、それが当たり前で、「私のせいじゃない」なんて疑う余地もなかった
いつも私は、周囲を不幸にする疫病神だった