作品名Title 「川 - RIVER」 作家名Artist:星素子 Motoko Hoshi

 

これはパリの日本視覚詩展Poésie visuelle japonaiseで発表した「川(RIVER)」という新作です。このロール芯3本であらわす漢字の「川」を、かつてマルセル・デュシャンが「泉」を発表したフランスでいうなればラグビーの“トライ”のような心持ちでパリに置いて帰国しました。構想数年、日常から生まれた身近なロール芯(再利用Re-Use)の作品を現代人の証として。実験に実験を重ねて、庭で育てた藍染めの藍AIの葉をもちいることで完成した入魂の3本です。川は2バージョン、本作を含めた5作品を展示。本展覧会の関係者ご来場いただいた皆さまに心から御礼申し上げます。

 

『Poésie visuelle japonaise』 Nov16-Dec7 (Exposition Jusqu'au 7 décembre)

Galerie SATELLITE(7, rue François-de-Neufchâteau 75011 Paris)

https://galeriesatellite.jimdo.com/ Vernissage samedi 16 novembre à partir de 18h Lecture/Performance à 18h30:Jean-François Bory, Misako Yaritra, Yuko Minamikawa, Kiyoe Kawazu, Kensuke Shimizu, Motoko Hoshi

 

19世紀末にロートレックがポスター芸術で町を彩り、20世紀1940-50年代にサルトルやボーヴォワール、ボリス・ヴィヴァンなど文化人・芸術家が集い語りあうカフェ文化に惹かれていた学生時代、「1杯の珈琲をパリで飲みたい」と思っていました。(パリでの作品展示は2010年espace JAPONでの「黒と白 日本人の精神性と美意識」展から5回目/フランスでは6回目)サンジェルマンデプレに滞在したさいしょのパリ滞在でそれは叶い、現在の希望は人間を対象とする「アート」になりました。

そこに“よりよい”や別の言葉を添えることで「新しい1杯」の熱はさめることはないように思います。

 

今回「What is your baton?」とかいたBOXを手に、上海経由でパリに向かいました。中之条ビエンナーレ2019地域参加型プロジェクト「中之条バトンをつくろう!」で沢山の人たちと交流して漢字バトンを集めた「中之条の漢字収集BOX」をRe-Use(衣替え)したものです。

 

11月16日、展示オープニングの日。衣替えをしたバトン収集BOXとパフォーマンスをおこないました。「Quel est votre bâtons?」(あなたのバトンは何?)がテーマのワークショップレクチャーです。「バトンチャレンジ宣言」(作品名でもあります)と称してバトンプロジェクトや作品の経緯や主旨を説明したのち自主的な挙手や発言をうながしながら、あたたかな雰囲気のなか、パリの人たちとコミュニケーションして漢字(+フランス語や英語)バトンが集まりました。

 

パリの人たちは泉のようにとぎれることなく自らの思考を話してくれます。それを漢字に置き換えていったのです。熱をおびて英語で話していたつもりが思わず日本語が飛びだし通訳さんに「日本語になっています!英語で!」なんていわれる場面も。

 

 

集まったバトンは円形に並べて個々の間が巡る循環型視覚詩に。その場だから生まれたイメージに「意味よりもはやくイメージが伝わる」と評された初個展のことが頭をよぎります。初心を忘れずに制作やバトンチャレンジをつづけたいと思いました。

 

2013年に参加した同展ではパリの人たちに「あなたが大切にしているものは何?」と問いかけた桐箱を配置。セカンドライフ、自分、自由な心、美、家族…といった言葉が印象的でした。その年にパフォーマンスでポエトリーリーディングしたのは「美しいゴミ」というタイトルの詩。やっている内容はあまり変わってない気もしますが、自分なりに経験と修錬を重ねることで、素晴らしい出会いや再会もあり、当時よりは芸術の術(技)は磨けているのかなとも。

 

言葉をあつかう職業なので日々「心を磨く」(初個展でステンレス作品を磨いてくれた燕三条のステンレス研磨職人さんからのお言葉)ことも心に留めていたいものです。また、展示には中之条ビエンナーレ2019パリ在住の参加作家(飯沼洋子さん、福島陽子さん)もかけつけてくれました。滞在中はメルシーボク!洋子&アーサーさんおもてなしの「ラクレット」、見事パリに出店された仕事で以前お世話になった「おむすび権米衛」のおむすび、感激の美味しさでした。

 

作品名Title「移動性(MOBILE movement for infinite)」

(奥)作品名Title「プロトタイプ環 – Prototype circulation」 

作家名Artist:星素子 Motoko Hoshi 制作年2019

 

 

作品と共にフランス語で「Quel est ton bâtons?」あなたのバトンは何?と書いたトリコロールカラーのバトン収集BOXとOPバトンは12/7まで画廊に設置しています。よかったらバトンを入れてみて★☆

 

オープニングパフォーマンスでの

通訳は飯沼洋子さんとベルリンから

ご来場のマダムにお願いしました。

作品「川」とMOTOKOTOBA作品は

窓からも見える位置にあります。

※ただし、この作品は外側からは

見えない「内側」がポイントです。
 

 

【Parisのお土産的☆小窓】

 

■パリの地下鉄。靴ひもを結び直そうとした瞬間、バトンの漢字収集BOXを入れたIKEAの青袋でバランスを崩して尻もち。すると千手観音のように全方向から手がさしのべられました。いちばん先にだされた目の前の手をつかんで「メルシーボク!よいしょっ!」と立ち上がりました。何層にも重なる剥がれたポスター、時折聴こえる生演奏、デジタルサイネージも早かったパリの地下鉄(メトロ)や駅が好きです。階段では重い旅行鞄を持ち上げようとしたら、ふわりと軽くなり…知らない人が手をそえてくれていました。そんな私は都市(まち)のバリアフリー/ホスピタリティにとても関心があります。

 

■Parisのお土産的☆動画(YouTube)

Baton Challenge in Paris (Centre Pompidou#1 )by MotokoHoshi_Art 

https://youtu.be/7hholikXlCA

ポンピドゥセンターのスタッフさん達が私のアート、バトン(心意気!?)に共感してくれて「笑」バトンをお寄せいただきました。笑顔のご参加ありがとうございました!

 

【Parisレコメンド(敬愛するアートの現場)】

■パレドトーキョー「PALAIS DE TOKYO」https://www.palaisdetokyo.com/

パリについて直行&帰国前もここのカフェにいくほど好きなコンテンポラリーアートの場。すてきな人たちとサプライジングな出会いもありました。 

■フォンダシオン ルイ・ヴィトン「Fondation Louisviton」https://www.fondationlouisvuitton.fr/

日本にも縁あるCharlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)の回顧展にはピカソなど当時の同時代作家の作品も。展示から館の思想が伝わり感動。今回行けて心底よかった展示。同じ時代を生きるひとみんな同時代人ですね。

■ポンピドゥセンター「Centre Pompidou」https://www.centrepompidou.fr/

ボルタンスキー展、フランシスベーコン展に遭遇。特にベーコン作品は日本で見た時とは異なる印象。具体派の「松谷武判展」はそこで9月迄おこなわれていました。

★以前SHIKIMEI取材でお世話になったペロタン(村上隆展 開催中でした)やParis Photo関連など面白い展示も。ほかにも色んなパリの素的なことをお伝えしたいのですが…またの機会もしくは作品で!国内外問わずいつも何度でもチャレンジしたいと思っています。

 

 

【ご案内:東京でグループ展に参加】

展覧会名「Group exhibition 空 2019 at S.Y.P
」

会場:S.Y.P art space(新宿区住吉町10-10) 

会期:12月1日(日)-12月8日(日)13:00~20:00 会期中無休       

主催:鈴木泰人 協力:A.N.Y Talks、Artist Meet Up!、S.Y.P art space ※12/7(土)トークイベント17:00-18:30/忘年会19:00-20:00(有料)

15:00から同時受付

 

※星素子はパリ展示の5作品のうち2作品の「連作」をつくりインスタレーション展示。■ロール芯作品とCD-ROMが出会った「川 Ⅱ(RIVER)」■「移動性Ⅱ(MOVILE movement for infinite)」をインスタレーション展示しています。在廊はトークイベントのある12/7ほかを予定。私の地元・東京でもバトンチャレンジ「What is your baton?」を継続展開していきたい!ので在廊中は手持ちでバトン収集BOXを抱えていると思います^^(ご来場いただける方はぜひ事前にご連絡を。漢字バトンを収集BOXに入れてくれた方には、ちょっとしたパリのお土産をお渡しできるかもしれません)

 

東京のまちは、そろそろクリスマスの華やぎ。

 

この度のパリ滞在であたらしい希望と同時にやるべき課題も

みえてきましたが、あせることなく精進してまいります。

今後とも作家作品ならびにバトンチャレンジに

ご期待ご支援いただけたら幸いです。

 

木枯らしの吹く寒い季節になりました。

風邪などひかないようお気をつけて

あたたかな師走をお過ごしくださいね。

 

 

 

 

 

 

この旅の

すべてに

感謝☆