目を閉じても、白。
キラキラひかる雪と子どもたちの笑顔がひときわ眩しかった
北海道美瑛での制作滞在(Artist in Residence)。
作品づくりやワークショップなど2週間の滞在を通して
雪の魅力や厳しさを感じつつ、沢山の人たちと
心あたたまる交流をさせていただきました。
氷点下の寒空のもとウィンターサーカス
美瑛雪あそび会場にお立ち寄りいただいた皆さま
滞在中に出会えた人
素ことばワークショップに参加いただいた皆さま
西神楽・聖和小の子どもたちや先生方
お手伝いしてくれた子どもたち(協動?協遊!)
アジアの観光客(北海道人気です)
札幌・旭川からのバスツアー参加者の皆さま
会場・制作協力いただいた「びえい雪あそび実行委員会」
お世話になった関係者の皆さまに、心から御礼申し上げます。
言葉アート 星 素子

$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-星素子_美瑛全体.jpg
「そら、ゆき、素ことば」
~漢字を感じて。みんなで楽しむ体験型ランドアート~
Sky,Snow and Motokotoba(Word Art)

しぜんの、あらわれ。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-星素子_美瑛雪あそび素ことば
空は穴かんむり。
一見、四角いかまくらです。
なかに入った子どもたちや大人たち、
どんなお空が見えたかな。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-空穴★
小学生からの折紙てがみ。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-素ことば感想.jpg
型をつかって、雪であそぶ。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-星素子_雪あそび.jpg
ひる間の会場には、寒さ知らずの子ども達が入れ替わり訪れます。
雪で作業をしていると「何やってるの?」「私もやりたい!」
美瑛の子どもたちが手伝ってくれました。
小さな四角の雪の上には「心」と「雪」を、型をつかった
雪文字であわわしています。夜の間にしんしんと雪が降り積もると、
朝には文字が隠れて天然のスノーホワイトエンボスに。
「さー、何の文字が見えるかな」子どもたちと雪をはらい、
雪に埋まった文字を発掘。雪のなかから、雪の文字。
大きな四角の雪の側面には、四角い雪文字でこしらえた
素ことば(4字詩)。元気いっぱいの子どもたちは、
文字のうえに登ったり、雪につけた雪型文字を、
手や足で容赦なく壊していくことも。そんな時は
「壊したら、じぶんで直してね」
作品の周りに転がしておいた雪型を手わたし、修復作業。
「どうやってやるの?」「こうして水をつけてね、
ぐーっと壁におさえると溶けたところがくっつくの」
「うわ、おっこちたー」「お、くっついたー!」
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-メガホン.jpg
かまくらの近くの雪の上にメガホンを置いておくと、
ちょっとしたきっかけで、子どもたちは
雪をつめて三角形をつくっていきます。
「固まらないよー」「すこし水を混ぜてみよう!」
「コレ、どこに置く?」かまくらの前には、
雪型三角の小さなランウェイも生まれました。
「ろうそく立てたら、きれいだよ(美瑛の子ども)」
「どこに、あるの?(私)」「みなみ花やにあるかも(美瑛の大人)」
そんな会話から、雪三角の上にろうそくを立てることに。
お店に相談にいったら「使い古しだけど」といって、
快くキャンドルを提供してくれました。また別の日には、
四角のかまくらにハートの形の雪がくっついていたことも。
雪穴めがけて氷でボーリングして遊んだり、小さなランウェイで
防寒服のファッションショーをしたり。子どもたちは遊びの天才。
「夜はさいごの鑑賞会だしなるべくきれいに場所を整えておきたいな」
「わかった!助手みつけてくる」「私もやるー」
雪の上で子どもたちと笑い転げながら一緒になって準備しました。
「あ、もう帰らなきゃ」率先して手伝ってくれた子どもたち。
「私もそろそろ東京に帰らなきゃなの。この場所の番、まかせたよ」
「OK!」
そうして、毎日変化しつづけていった雪の作品は、
いま頃どんな風になっているのでしょう。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-美瑛の素ことば風景
美瑛の素ことば。
雪あそび会場前のふれあいの館ラヴニールでは、
エントランスの小上がりに小さな展示スペースを設けていただいたり、
美瑛や周辺地域の方たちやバスツアーで訪れた人たちと
素ことばワークショップをしたり、ワークショップ作品を
展示したり。そんな場所で、『美瑛を漢字1文字で教えて』と
折紙や箱を用意していました。
「考えたこともなかったけど美瑛ってどんなところかなー」
「私は移住してきたから開。美瑛って家に塀がなくて、
最初びっくりしたんですよ」箱の中にはそれぞれの
美瑛の1文字が沢山集まりました。
雪、銀、光、美、丘、花、彩、緑、地、広、心、畑、芋、輝…
私は冬の美瑛のほんの一部しか知りませんが、
春や夏や秋の美瑛も美しく、冬が長い分だけよりいっそう
みんなの記憶のなかで輝いているようにも感じられました。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-美瑛の素ことばWS
そんな美瑛で集まった漢字をもちいて
4字詩の「美瑛の素ことば」をつくり、
いただいた折紙文字やみんなのワークショップ折紙作品とともに
映像にして四角いかまくらに投影しました。
それは、冬から春へ少しづつ変化していく美瑛や人を
イメージした連作のビジュアル詩のようなもの。
美瑛滞在を通してのあらわれ。ですが、作品は見るひとのもの。
記憶や想像する心がそれらのあらわれと出会うとき、
見る人のものがたりになっていくのかもしれません。

$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-素ことばART星素子


そうそう、お寄せ頂いた沢山の折紙のなかに
「寒いけど暖かい場所」「白は無限の夢」と
書かれた折紙文も混じっていて。
滞在のおわり頃には、そんな気持ちにもなりました。





すべてに☆感謝











PS
美瑛は、雪の道。大通りには、落雪三角屋根の自宅兼お店がヨーロッパの街並みのように美しく連なっています。1946/1977/1855…壁についている数字は何だろうと地元の人に尋ねると、それぞれの移住や創業年で、20年くらい前に町おこしで表記が統一されたとのこと。歩いていると「雪はね(雪かき)」をしている方たちとも出会い、美瑛のことを教えてもらったり、雪はねのお手伝いをしたり。楽しく会話させていただきました。
「昔は今よりもっと雪が多くて大変だったのよ」「1日に3~4回、朝も昼も晩も、雪はねしないと」とても美しい雪の道ですが、雪はねをしないと歩けないくらい雪が積もるそう。雪を落とすために路上にもうけられた排雪溝の上には三角コーンの目印。除雪車もやってきてはグイングインと作業をしていました。縦型の信号機は、横型よりも積雪面積が少ないので安全なのだとか。また、固定式視線誘導柱(こていしきしせんゆうどうちゅう:この冬声に出して読みたい日本語^ ^)という、上から下への赤白矢印が視界上方に。上下前後左右の白い道、積雪地域ならではの標識アイコンも新鮮で印象的でした。
「道の駅びえい丘のくら」を拠点に、美味しい食もありました。美瑛名物といわれる「カレーうどん」や美瑛豚、美瑛牛など(おとなりの上富良野は豚サガリが有名)。滞在中の夜は作業や雪実験(※)に没頭していてお店が閉まっていたことが多かったので開拓なかばですが、焼肉「にしき」さんのラム肉(ジンギスカン)には救われる思いがしました。突然の地震のさなかコンビニの「おにぎりあたためますか?」にふと和んだことも。こうして書いていると、お土産でいただいたラベンダーのポプリを手元に置いているせいか、吹雪で出られず長時間おしゃべりにつきあってくれた喫茶店のおかあさんや、本州から帰省中の娘さんたちと夜の鑑賞会にもきてくれた雑貨屋さんのおばあちゃんなど、次々と美瑛で会った人の顔が浮かんできます。

$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-美瑛の雪の道
美瑛の雪の道。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-道の駅びえい丘のくら
建築好きにはたまらない
「道の駅びえい丘のくら」の天井。
もともと小麦倉庫として使われて
いた蔵をリノベーション。
当時の佇まいを残していました。
$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-雪型実験
(※)雪実験:升を使った四角い雪型制作。
氷点下17℃。パウダースノーの雪はなかなか
うまく固まらず水につけたらすぐに凍ってしまいます。
雪のサイエンスを感じながら何百個つくったかな。
※雪実験でわかったこと:
雪と水は相性がいい!
明治神宮の漆塗の升は雪(や私)と相性がよいのか
他の持っていった升とは違いました。体験したことの
ない寒さのなか、日本の漆の素晴しさにふれて
涙がでそうでした。(泣いたら涙も凍りそうなので
我慢しましたが)

$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-白銀荘の雪.jpg
また、雪のランドアートプロジェクト「ウィンターサーカス」の各会場をむすぶ「大雪・富良野ルート」には、北海道の冬を楽しめる名所が点在。トナカイがでてきそうな幻想的な雪道をいく「十勝岳温泉郷」(雪博士の中谷宇吉郎氏が人工雪の研究をしていた「白銀荘」付近)では、雪の結晶をそのまま肉眼で見ることも。“雪は天からの手紙”とは、ロマンチックですね。トマムには安藤忠雄氏設計「水の教会」や、アイスバー・氷の教会・スキー場・スケートリンク等のある「アイスビレッジ(星野リゾートトマム)」も。トマムの映像会場では冨田哲司氏のすてきな雪映像を引き続き楽しめるそう。(アイスビレッジの制服はちょっと銀河鉄道999のメーテルみたいで可愛い)。ちなみに、ドラマ「北の国から」の名シーンで五郎さんが「まだ子どもが食べてる最中でしょうが!」といっていたラーメン屋さんは、今はもうないそうです。今回、寄り道しながら景観を楽しむシーニックバイウェイ(Scenic Byway)関連のアートプロジェクトでしたが、PSも寄り道だらけになってしまいました。

寄り道ついでに。人のいない極寒の雪道で
何度もすべって転んだ痛い経験と、
親切な美瑛の人たちからのアドバイスをもとに、
すべりにくいと個人的に感じた歩き方を
記しておこうと思います。
雪の少ない地域で生活する人が雪の多い北海道を
安全に楽しむ参考に少しでもなれたら幸いです。

「こんな風に、ペンギンみたいに歩くのよ!」
→ペンギンみたいに小さい歩幅で
ペタリペタリと確認するように地面に足をつけて歩く。

「ほらあの、加トちゃん達みたいな歩き方で!」
→ドリフのヒゲダンスのように(!?)
足の裏が地面に対して垂直になるよう、
しっかりと大地を踏みしめるように歩く。

…よい旅を☆













また北海道の空
みれたらいいな


$SunFaceJapan. ポケットの中にはBIG DROP☆-ウィンターサーカス星素子


空は何処まで
空は何処に、
つながって
いるのだろう