桜が散りましたね。昔住んでた家の垣根のバラがつぼみをつける頃だ。
親父が初めて買った小さな家の庭には多くの植物が年中花を咲かせていた。
母が好きで買ったものがほとんどだったが、垣根のバラだけは
親父が買ってきたのだと聞いた。他の家の垣根が常緑樹である中、
濃いローズに染まる家の庭がとても好きだった。
JRAが出版している「優駿」という雑誌がある。
「ギャロップ」が出る前は、つぶれてしまった「競馬報知」(後のファンファーレ)と
「競馬ブック」ぐらいしかめぼしい競馬雑誌がなかったのでほぼ毎月買っていた。
毎年「優駿エッセイ賞」というのがあって競馬にまつわるエッセイを募集し
首席は60万円貰えるのである。競馬ライターの登竜門として知られ、
有名所では吉永調教師(元騎手)の妻で作家の吉永みち子氏が受賞されている。
お題が絞られているし、首席の傾向は何となくわかる気がする。
せっかく受験で小論文を鍛えた事だし、競馬好きの家系に生まれた私的には
お題も書きやすいかもしんない、小遣い稼ぎ出来ればラッキーだぞ、と考えた。
主題は親父だ。うちの親父と来たら仕事と女以外は生活全般においてだらしなく、
金を持たせれば打ってしまうし、大酒のみで、耳が遠いので声が大きいはで、
はっきり言って下品。・・・その言葉そっくり娘にも当てはまる。
そんな親父だが、若い頃は家庭の事情で結構苦労をしており、
それで博打に逃避しちゃったダメ男であるとも言える。(本当は血統だが。)
大体競馬好きというのはロマンチストなものだ。博打と苦労の多い人生と
家の垣根をバラにしてしまうロマンチストさに嘘をミックスしてふりふりすれば
お涙頂戴エッセイの1つぐらいは絞りだせるだろう。
構成と脚色(嘘)は大事とは言え、事実を多く盛った方が話に厚みがでる。
実家で相方の両親(義父母)が上京したので接待していた時のこと、
親父になんでまた家の垣根をバラにしたんだ?と聞いてみたのだ。
父「ある有名な政治家の家のな、垣根がきれいだったんだよ。
んでもらってきた」
私「そこんちから?タダで?」
父「そう」
私「まさか黙って?」
父「うん」
私「それは盗んだって言うんだよ!」
相方の親にまで聞かれちったじゃないかよ。
一部始終を聞いて笑っていたのはわしと親父だけだったぞ。
結論:クズはどこまでいってもクズだ。