3月20日元夫と事件があった日

 

そして、4年後の3月20日

 

新しい人生の引っ越し日となった

 

たまたま、引っ越しの手伝いをしてくれる甥っ子の都合で。

大型の荷物だけトラックに載せての移動だった。

でも、この日に引っ越しになるんなんて…

神様は何から何までご存じであるように思えた

 

田舎の山の中腹の実家のアパート

実妹と実姉がそれぞれ家族と暮らしたアパート棟

 

今度は私が入居した

 

実家に頭が上がらないことに反発して

アパートに入れてくださいと頭を下げられない自分がいた

 

「自分は努力次第でどうにか自立できる」

「人の情けは受けないで自立してみせる」と

意地を張っていた自分がいた

 

だけど今は

素直に

誰かに寄りかかって

その温かさを感じる自分がいる

 

20日の引っ越しは小雨の降る寒い日だった

それから数日間、遠方の友人に会いに留守にした

帰宅後も自動車に荷物を載せ

新しいアパートと旧アパートを往復する日が続いた

 

日に日に片付いていくアパートを眺めながら

どんな思いをこの場所に抱いていたのだろうとふと思う

20代から30代を過ごしたアパートに似ていたこのアパートに

当時の思い出を映し出して懐かしさを味わっていたのだ、と思う

 

29日昼すぎ、

ようやく荷物が片付いた

空っぽになっていく部屋におびえている猫に

 

「もう、行くよ、こことはお別れ。」と声をかけると

涙がほろほろとあふれ、こぼれた。

猫をキャリーに入れ玄関ドアを開くと

 

さっきまでの降っていた雨が突如として止み

青空が広がって

辺りは春のふんわりとした空気に包まれた

 

新しい生活の始まり

 

そして、すべては良い日のためにあり

今が一番良いと思っていても

その先はもっと素晴らしい明日を神様は用意してくれているのだと

 

だから恐れることはない

 

喜んでその先を歩んでいこうと

 

そう思い、そう信じている自分がいた。