2006年、秋が来た

 

 

天高く馬肥ゆる秋

 

空は青く高く

地上は栗やりんごがなり

縁日の屋台のいろんな食べ物の香ばしい匂いがよく似合う秋がやって来た。

 

2学期になり同じクラスの子どもたちも一段と大きくなっていた

 

弱視学級の担任T先生と息子は

前世が親子であったのだろうと思われるくらい

二人の姿は違和感がなく息がピッタリ合っていた

 

今まで幼稚園で全く競技やお遊戯に興味のなかった息子であるが

心身共に一体となる程の存在がついていれば

運動会の種目など何者も怖くない、

いや、「何でも受けよう喜んで」の心意気に見えた

 

全てが冒険と発見の日々で

みるみる人間らしさ、情動、行動規範が身についてきた

 

子供のカバンの中から”お家に方へ”と

ちょっとしたメッセージ入りの運動会のプログラムが入っていた

 

密かに、楽しみにその日を待っていた

 

…とうとう、当日がやってきた

 

おにぎり、唐揚げ、厚焼き玉子、漬物…

家族分のお弁当を重箱2段に詰めてから

実母と義父母を迎えて、

 

広報委員の黄色い腕章をつけて

一足先に小学校の庭へでかけていった。

運動会のプログラムの流れを

現地でチェックしなければならない。

 

8時20分

待ちに待ったという言葉が本当に当てはまる運動会が始まった

 

一年生から6年生が

その学年らしい姿で応援合戦や競技に取り組んでいる

ラジオ体操

おじいちゃん、おばあちゃんとの玉入れ

地域の踊り

そして、

徒競走

遊戯

息子にとって、その名の通りT先生と「二人三脚」での運動会。

わたしは腕章をつけてフィールドのなかで

カメラのファインダーを覗き

夢中になって、その一瞬一瞬をカメラに収めた。

 

多くの観客の中に盲学校の先生の姿もあった

 

多くの人に支えられ、今を送っている…

 

多くの実りの果実を受け取った秋だったと記憶している。