その時は

迫りくる水に溺れるようなきもちだった

 

今は

自ら水に静かに沈んでいく気持ちだ

透き通る水に

手も、足も、体全体が

水を受け入れ

深く深く沈み込んでいく…

 

一切のもがきを捨てた

 

見えてきたものは

 

ボタンが掛け違っていた関係に希望を持ち続けようとした自分、

できる自分、

頑張っていて、いつも明るい、諦めない自分

 

それは、本当の自分の姿ではないということ…

 

長い間演じている自分と、本来の自分の区別がつかなくなっていた…

 

寸分も心を緩める間もなく、自分自身を無視し続け

気を失っていた自分と、

心の死をまぬがれ、奇跡的に再会できた。

 

長い間、使っていなかった手足を自分の感覚とすり合わせていくように

しばらくはリハビリが必要な様だが…

 

ボロボロにすり減って、壊れそうな自分を

    探し出してあげられるのは自分自身でしかない。

 

私は幸いにも、

幾多の奇遇と悲しみの果てに

本来の自分を突き止めることができたのだった。