就学児委員会に向けて

盲学校の先生、眼科医、そして私の

連携プレーが始まった。

 

地元の小児眼科医の先生のもとで

数々の検査をおこなった

そのたびに息子を連れてい行ったのだが、

 

息子の自閉スペクトラム症の典型な”ものの言い方”には

次から反応しなくなった。

 

こういうお子さんなんだと悟ったのであろう。

 

しかし、わたしは通院するたびに、

胸に鉛玉を抱えたような重い気持ちを感じていた。

後ろめたさとも

虚しさとも

怒りともつかない

灰色のたまのような重さを…

 

息子の診断は

「全色盲の不全型」

目の細胞には

色と形を感じ取る「錐体細胞」と

明暗を感じ取る「桿体細胞」があるが

 

息子の場合、

錐体細胞から全く電気信号が脳に送られていない。

つまり錐体細胞が働いていないので、

ものの輪郭を読み取り、色を識別することができないはずだった。

 

しかし、かなり弱いが形はわかり、色も「赤」「青」「緑」などがわかる。

ただ、パステル調の淡い色は「白」に、紺色は「黒」に見えるのだそうだ。

 

完全に色覚がない全色盲の不完全型で「全色盲の不全型」だそうだ。

かなり珍しい病気だ。

 

一体、私のお腹の中でどのような出来事が起こり

このようなハプニングが起こったのか?

それと発達障害がどのように関連しているのか

教えてほしかった。

 

知ったところでどうにもならないけれど。

 

焦点距離は5センチ。

 

人物の識別は半径1メートルくらいだろうと。

それ以上では相手の顔が見えない。

 

女性の眼科医は

「お母さん、お子さんは生まれて一度もはっきりとした世界を知りません」

「すべてのものが、モコモコしたぬいぐるみのように見えるのです」

「目で見て、それが硬いか柔らかいかなどかわかりません」

「色もはっきり見えていないはずです。」

 

彼の曖昧模糊とした世界が

私に脳裏に映し出された。

モヤモヤわからない世界にいきているんだなあ。。

 

頭のかながモヤモヤしている自分と息子が重なって…

 

…いや、私よりもっとわからない中でい生きているんだ。。

 

彼が辺り構わず彷徨いまわる様子が、

自分で自分所在さえわからなくて…

ましてや、周りのことなど、もっとわからなくて

ただ、ただ、さまよっている

心頼りない姿が眼に浮かんできた。。

 

そうだったのか…

 

長い間、奇っ怪だった息子が

実は「彼自身が困っている姿」だったのではないかということに気が付き始めた。