奇跡的に出会えたO医院のおかげで、
そしてY建築士が紹介してくれたジャーナリストの本の出会いと
児童館で出会えた「エイスケくん親子」のおかげで
我が家を襲った異変の正体が空気だとわかった。
それを導いたのはまさしく体の「感覚」だった。
間違いなくわたしたちの体は正しい方向を知っている
そして、間違いだらけの選択の中にも
必ず真に導く逃げ道を与えられていることを知っている。
まるで地中の中で、太陽の方向を知る芽、大地の方向を知る根のよう。
私は最悪の中にも一つの正解を探し当て
O医院で処方された2つの薬を飲んだ。
みるみる肩が軽くなり、視界が明るくなった
トイレに行くと見たこともないようなオレンジ色の尿が出た。
一包薬を飲むごとに体が楽になっていった。
そして、次のような文章を綴った。
今、全開にあけた窓の前で文章をしたためております。
現在この様な面持ちで今までを振り返ることが出来幸せに思います。
文章を書くことはおろか、文章を読むことも、理解することも、
ましてや、人と普通のたわいもない会話をすることすら苦悩していた状態だった私が
薬を飲まず、ただ換気する事だけ20日続け「自分」に戻れたのは、
うれしく、ただ生きている喜びで一杯です。
私の一つの失敗が多くの発見と大きな問題意識を与えたくれたのは大きな収穫であり、
これからに生かすことのできる世代の人間として意味深いものと考えます。
もし、状態の悪くなりきる少し前に「エコハウスがほしい」という本に出会わなかったら、
「シックハウス」という観念を持っていなかったら、
また、夫が精神科医という立場でなかったら
私は今頃向精神薬づけになり、心も体も耗弱しきっていたと思います。
どんな悪い時にも、きっとどこか出口があると望みだけは棄てず、
あらゆる悪あがきの中にアタリを引き当てたこと事は
数々の出会いに支えられた結果と思わざるを得ません。
本当にこころから数々の方々に感謝いたします。
現在、あちこちで私達と同じ世代の方達が、
それぞれのメーカー住宅や建築会社で家を建て子どもを産み育てています。
それが当たり前の世の中です。
壁はビニルクロス、床は合板のフローリング、
防虫加工された木材、ベニヤによって骨格がつくられ、
床下には防蟻処理が加えられています。
私のように症状が明らかに出ないで暮らしているからいいのではと思われそうですが、
そうと気が付かないで暮らしているからこそ怖いのです。
ましてや、これからの世界を担っていく子どもが
精神変調をきたす物質に囲まれ育っていく。
日々の生活が、その日一日一日が成長そのものの子どもたちの
生活の質、心理、身体活動が低下し、習慣化し、
人格、趣向、価値観が形成されていくのは本当に恐ろしいことだと感じます。
今現在、子どもたちの体力低下、学力低下、意欲低下、キレる状態、内向的、
他に無関心、情操の乏しさ…などは
毎日生活する場からの影響を少なからず受けているようにしか思えません。
それは、ひっくり返すと、大人の立場にもそのまま同じであり、
「心」の逼迫した状態で家庭をつくっていくのですから、
よい影響を子どもに与えることが出来ないと思います。
一日も早くエコライフが当然の流れになるのを願わずにはいられません。
これは当時31.5歳だった私の手記である。
人生のどん底の時だった。
しかし、ここから私の真の人生が始まった。