工事着工の皮切りに
土地の地盤調査が行われた。
その土地は柔らかいか硬い地盤か?
結果は柔らかい地盤だったのだ。
後でわかったことだが
ここは昔、堀川町という場所で
前の道は大きな堀が掘られて
水が流れていたらしい。
そこを埋め立て
今ではそのような面影が一つもなかったが。
地盤調整に思わぬ時間が取られてしまった
占い師が言っていた
気学での吉凶を分ける時節は11月7日だ。
既に9月だ。
「急いでくれ!」
何に?どこに願っているのかわからないし、
なぜそこまでその「11月7日までに」を
必死に守らなくてはならないのか
自分でもはっきりわからなかったが
とにかく
それが「大事」だった。
ヤキモキしながら地盤調整の終了を待つ。
入居2ヶ月前を切って
ようやく本体工事が始まった。
土地に根切(基礎の部分の土地が掘られ)がされ
鉄筋が組まれコンクリートが流し込まれて基礎ができた
その内に
足場が組まれて青い養生がされて
大型トラックが何台もやってきて
大きなクレーンで大きなパネルが吊るし込まれ
たった2日にという短い時間に建物が建った
「こんなに早く家が建つのか…」
あまりの速さに感慨がわかず、
ある意味、技術進歩に驚いたことを覚えている
ここからは職人たちの仕事だ。
私は、できる限り時間が許す日は
アパートから20分かかる「現場」に
足を運び、差し入れをもっていった
現地で汗をかいて
黙々と働く職人さんの姿に敬意を感じたとともに
神聖な仕事場を邪魔をしないように
そっと気配を消して無駄な話はしないで帰ってきた
M社の営業の営業の方々とは全く違う世界
それでも、近年ハウスメーカーで
施主が差し入れをすることは稀で
職人さんたちはそこに誰が住むのか全く知らないまま
現場を離れることが多いという。
時には、思いがけない差し入れに気分良く
気さくに声を掛けてくれる職人さんもいた。
心がホッとする時間だった。
現場で差し入れを渡し終えると、
ふと、アパートに心が飛ぶ
子どもたちが待っている。
早く帰らねば!!!!
一瞬の人と人の触れ合いに
違う空気を吸い込み
また
あのいっぱい詰まった空間に戻るのだ。