彼の趣味の生活はどんどん進行していく。

 

目の前に一層のモーターボートがビューンと

 

水面を切って颯爽とに横切っていくように

 

彼は自由の時間を謳歌していた。

 

私は、カゴの中の鳥のように

 

飛んでみたい現実と

 

飛んではいけない、という決意の間を

 

心が行ったり来たりしていた。

 

そして、いつも「してはいけない」決意が勝ってしまった。

 

もう、自分は自分として生きるのではなく

 

娘の人生を負い、夫のわがままを許し、

 

自分という存在をそれらに明け渡していた。

 

現実を戦うのではなく、現実に諦めていた現実があった。