引っ越しをしなければならなくなった。
トラ猫トラニャはきっとイヤだろう。
それは分かっていた。
トラニャたち3匹を、遠く離れた名古屋に引き取った。
そのとき、いちばん慣れるのが遅かったのがトラニャだった。
イヤだ、イヤだ、ここはイヤだ、
お前なんか嫌いだ、
おねぇちゃんのところに帰りたい!
そう叫ぶかのように、
トラニャは鳴いてベランダのサッシをかきむしった。
それが半年ほど続いた。
シャムとクロは、2,3日で落ち着いて、
わたしになついてくれたのだけれど。
だから、引っ越しは怖かった。
トラニャにはひどいストレスになるに違いない。
それは分かっていたのだ。
でも、トラニャだけが大切なわけではない。
人間の家族も大切なのだ。
引っ越しは、どうしても必要だった。
そして、わたしは少し楽観していた。
前回とは違う。
前回は、誰も知らない土地に拉致されたようなものだった。
今回はわたしがいっしょだ。
だから、たぶん早めになれてくれる。
きっとそうに違いない。
そう思ってしまったのだ。
だが、甘かった。
トラニャにはとてもつらい思いをさせてしまった。