古い和風の家の格子戸の隙間から
シマシマのしっぽがちょろりと突き出していた。
--おや、トラニャだ。
わたしは玄関から家の中へ入った。
広々とした土間。
家老くらいの家格じゃないかと思わせるような、
広々とした土間の向こうにトラニャがいた。
トラニャは、パック入りの豆腐のにおいをかいでいる。
どういうわかけ、パックはすでに封を切られていた。
いけない、止めないと。
トラニャ、それは人間の食べ物だよ。
お前はそんなものいらないだろう?
そういって抱き上げたけど、
トラニャはわたしには目もくれず、
ひたすら豆腐を気にしていた。