トラ猫トラニャは躊躇なくわたしを起こす。
夜中の2時であろうが3時であろうがおかまいなしだ。
ずっと鳴いて騒いで起こしていたのだが、
去年の後半くらいから起こし方が変わった。
目をなめるようになったのだ。
ザラザラの舌でまぶたが引き起こされて、
一発で目が覚める。
晩年に至っていろいろ進歩したなぁ、と思う一つだ。
トラニャは享年14歳。
老境と言えるほどの年ではなかったが、
晩年には特別な成熟があるのかとも思う。
シューベルトは享年31歳。
あまりにも若い死だったが、晩年の作品には
鬼気迫る絶品が多い。
音楽史上才能あふれる音楽家は多いが、
断片で深淵を切り取る鋭さにおいて
シューベルトの右に出る者はいない。
死は生を高めるのだろうか。
