トラ猫トラニャは不満でならない。
わたしがシャムばかり構うのが納得できない。
膝の上はトラニャがほぼ独占していたのに、
最近はシャムがずっと乗っている。
ガマンできなくて、トラニャが
ムリヤリ後から乗ってきた。
2匹乗るにはわたしの膝は狭い。
デブ猫トラニャは2匹分あるのでなお狭い。
のしかかられたシャムがちょっと痛そうにしたので、
わたしはトラニャを膝から降ろした。
そのとき振り返ったトラニャの顔が忘れられない。
トラニャは「信じられない」という、
はっきり傷ついた顔をした。
トラニャの表情はあまりに雄弁で胸をえぐる。
ごめんよトラニャ‥‥
シャムはいま病気で、
膝にいると少し落ち着くみたいなんだ。
降ろすと叫び出すことがあるんだ。
後できっと埋め合わせをするから‥‥
そう言いながら、同じ言い訳を
クロにしたことを思い出した。