わが家の猫バトルの歴史は、シャムとクロの
争いから始まるが、この2匹はわたしが引き取る前から
争い続けていた。
前の飼い主さんのところで、クロは子猫の時に拾われた。
たぶん、シャムに可愛がられて育ったはずだ。
だがクロは成長すると、シャムに挑戦を始めたのだそうだ。
クロは今までの生涯のほとんど、10年近くシャムへの挑戦を
続けていることになる。
わたしのところに来た当初、臆病なクロは怯え続けて
挑戦どころではなかったが、新しい環境になれて
落ち着くとともに挑戦が始まった。
当初の争いはかなり激しかった。
わたしの前ではあまり激しく争わなかったが、
家に帰ると黒い毛の塊が飛び散っていて、
クロにハゲができていたりした。
このハゲは今も跡が残っている。
シャムは争いを好まず、できるだけ避けようとするのだが、
クロは相当にしつこかったようだ。
この二匹、仲が悪いのではない。
それどころか、よく抱き合って寝ていたり、
お互いをなめあったり、驚くほど仲は良かった。
この二匹がなぜ争わなければならないのか、わたしには
理解できなかった。
今もよく分からないのだが、どうもクロはシャムに
勝ちたいらしい。
いつか超えたいアニキ、みたいなものなのだろうか。
シャムはクロにケガをさせないように気をつかっている。
クロが挑戦を続けられてきたのも、シャムがクロを
徹底的に痛めつけなかったからだ。
わたしは、この二匹の戦いがとても心配だった。
シャムは年を取った上に、太って動きが鈍くなり、
だんだんクロに手加減するのが難しくなってきているのは
明らかだったから。
不思議なことに、シャムが病気する直前に、
クロの挑戦がぱったり途絶えた。
シャムの体が弱ってきていることを
クロは感じ取ったのだろうか。
そして、強いシャムに勝たなければ意味がないと思って、
シャムの回復まで挑戦を休んでいるのだろうか。
いや、これはあまりに人間的な解釈か。
クロはシャムが大好きなので、単に体の調子が悪い間は
挑戦する気が起きないと考えたほうが自然だ。
今は、クロがトラニャの挑戦を引き受ける役回りに
なっている。クロはシャムより攻撃的だけれど、
ケガをさせないルールはしっかり受け継いでいる。



