これは、長期出張の後の夜のお話。
ふと目覚めると、シャムがわたしの顔をまっすぐに見ていた。
わたしの腕にすっぽり収まって、
ごろごろとのどを鳴らしている。
わたしが目を開くと、礼儀正しく目をそらした。
目を開けるとシャムの顔、というのは珍しくない。
お腹が減って、起きて欲しいときには、
顔をのぞき込んでヒゲでくすぐったりする。
このときは少し感じが違った。
何かを要求する風ではない。
けれど、眠かったわたしは、
特に考えず、また眠りに沈んだ。
それからどれくらい時間が経ったか分からない。
ふと目を開けると、やはりシャムが
わたしの顔をまっすぐに見ていた。
ゴロゴロのどを鳴らす深い響きが続いている。
このときも、シャムは丁寧に視線をずらした。
それからもしばらくまどろんで、
夢と現実を往復したのだけれど、
その間ずっとゴロゴロという響きと視線を感じていた。
シャムは、普段はあまりゴロゴロ言わない。
トラニャのように、派手に感情表現しない。
クロのように、耳をなめたり頬ずりをしない。
けれど、わたしが帰ってきたことをしっかりと
喜んでくれている気持ちが伝わってきて、
とても温かな気持ちになれた。
いい子だね、長く留守にしてごめんよ。
時間が時間なので、口には出さなかったけれど、
そういう気持ちをこめて
ゆっくりとシャムの背中をなでた。
こうしてお互いの気持ちが通い合うのを感じていると、
その気配を察したトラニャが
ホニャーと声を上げながら乱入してきた。
クロも体をこすりつけてくる。
お前らもカワイイぞ!
出張中、別に寂しくはなかったが、
猫がいるというのも悪くないと思った。