シャム猫の想いは静かに勁く | いきなり猫三匹と暮らす

いきなり猫三匹と暮らす

突如襲来した怪生物と犬好きのハートフルコメディ


いきなり猫三匹と暮らす

これは、長期出張の後の夜のお話。

ふと目覚めると、シャムがわたしの顔をまっすぐに見ていた。
わたしの腕にすっぽり収まって、
ごろごろとのどを鳴らしている。
わたしが目を開くと、礼儀正しく目をそらした。

目を開けるとシャムの顔、というのは珍しくない。
お腹が減って、起きて欲しいときには、
顔をのぞき込んでヒゲでくすぐったりする。

このときは少し感じが違った。
何かを要求する風ではない。
けれど、眠かったわたしは、
特に考えず、また眠りに沈んだ。

それからどれくらい時間が経ったか分からない。
ふと目を開けると、やはりシャムが
わたしの顔をまっすぐに見ていた。
ゴロゴロのどを鳴らす深い響きが続いている。
このときも、シャムは丁寧に視線をずらした。

それからもしばらくまどろんで、
夢と現実を往復したのだけれど、
その間ずっとゴロゴロという響きと視線を感じていた。

シャムは、普段はあまりゴロゴロ言わない。
トラニャのように、派手に感情表現しない。
クロのように、耳をなめたり頬ずりをしない。
けれど、わたしが帰ってきたことをしっかりと
喜んでくれている気持ちが伝わってきて、
とても温かな気持ちになれた。

いい子だね、長く留守にしてごめんよ。
時間が時間なので、口には出さなかったけれど、
そういう気持ちをこめて
ゆっくりとシャムの背中をなでた。

こうしてお互いの気持ちが通い合うのを感じていると、
その気配を察したトラニャが
ホニャーと声を上げながら乱入してきた。
クロも体をこすりつけてくる。
お前らもカワイイぞ!

出張中、別に寂しくはなかったが、
猫がいるというのも悪くないと思った。