猫三匹を引き受けることになって、気がかりだったことのひとつが、
果たしてなついてくれるかってことだ。
3匹とももう大人なのだ。
一番若いトラ猫でも4歳。
今3匹とも甘えん坊なのは、その不安から甘やかしすぎたことにあ
るのかもしれない。
いちばん時間がかかったのが、いちばん若いトラニャだった。
トラニャは、ただかわいげがなかっただけではなく、
たいへんな問題児だった。
夜中になると、大声で鳴き始めるのである。
窓ガラスをかきむしって‥‥。
ここはボクの家じゃない、出て行きたい、帰りたい。
そう言われているようで悲しかっただけでなく、
近所迷惑という点で大問題だった。
苦労して見つけた猫三匹入れるマンション。
近所とトラブルになったら退去することを約束して
やっと借りられたのである。
追い出されたら行くところがない。
もちろん、わたし自身が寝不足で困るというのもある。
だが、時間はわたしの味方だった。
前の家の記憶は薄らぎ、わたしはエサ係として認められる
ようになってきた。腹が減ると、寄ってきておねだりを
するようになったのである。
それ以外は、あいかわらず知らんぷりだったけれど。
それからさらに数週間が過ぎたある日のこと。
トラニャが、フニャフニャ鳴きながら駆け寄ってきた。
突然どうした? どうしてほしい?
まずエサをチェック。さっきあげたのがまだ残ってる。
トイレをチェック。自動清掃でいつもきれい。
水をチェック。十分あるし、これも換えたところ。
トラニャはフニャフニャ何か訴えながら
わたしの後をついて回る。
うーーん、君はいったい何が欲しいんだ?
分からなくて腰を下ろすと、
トラニャはいそいそと膝に乗ってきた。
私の手にひとしきり顔をこすりつけた後、
丸くなってゴロゴロのどを鳴らした。
--そうか、君は甘えたかったんだ!
今にして思うと、これがトラニャと仲よくなれた瞬間だった。