昔の話。


「いらんから、やる」


かつて、友人がこんな言葉を添えて俺にくれた、スーパーファミコンのカセット。

「北斗の拳5」を、押し入れの奥から発見!



「北斗の拳、かぁ。

漫画は、そこそこ知ってんねんけどなぁ。



まぁ、もらったものの、一回もやってへんから、やってみよか」



こない自分に言い聞かせると、俺。


カセットをスーパーファミコンの本体に颯爽と挿し込み、有野課長のごとくスーパーファミコンの電源をオ~ン!!



すると、ドットにおいて描かれた、カクカク調のタイトル画面が目の前に現れました。



いやぁ、やれ“PS3”やら“スマホ”やらが当たり前の世代には汚らしい画面やと思うけど、俺らゲーム黎明期の世代には懐かしいのよね~。


この、アナログな画面を当時。

脳内で最大限に美化して、遊んでたからね(笑)



はい、スタートボタンをポチっとな。




『主人公の名前を入力して下さい』




「あれ?


『北斗の拳』の主人公って、他でもないケンシロウやないの?

まぁ、ええわ」



とりあえず、「たける」と入力した炊ける。


すると……。



『主人公の“恋人”の名前を入力して下さい』



「えぇー!!

また入力しな、アカンの!?


はいはい……」



愚痴りながらも、俺。


当時付き合っていた嫁の名前を入力し終えると、ようやくゲームスタート。



はい、場面は変わって教会に。



『汝、“たける”はこの女を愛する事を……』



「あっ、主人公達。

結婚式やってんのね。


っていうか、コレ。

さっき、名前を入力した俺らやんな」



片肘つきながらゲーム画面を見ていると、教会の入口からいかにも「北斗の拳」って感じの、モヒカン刈りをした悪人共が登場!!



『ハハハ!!

“魔皇帝様”の命令でこの女はもらっていくぞ!!』




モヒカン刈りの悪人。

こない宣言すると、現在俺のでもある彼女を奪って、鮮やかに逃走していきました!!




何だぁ!?

唐突すぎるぞ、この展開!!


映画の「卒業」か!!



ほんで誰やねん、魔皇帝って!?
そんな奴、原作におったか!?



まぁ、くだらない疑問はさておき。


主人公(俺)の恋人が、モヒカン刈りの悪人によって、無惨にも連れ去られてしまいました!



コレは、早く助けにいかなくてはいけません!!


許すまじ、魔皇帝っ!!
(誰?)




さて、このゲームのボス的存在。


魔皇帝の暴虐に反抗する人達は、主人公の俺以外にも沢山いるみたいです。



だって、しばらくの間。


名のある格闘家達が、魔皇帝の軍隊に対して反旗をひるがえしている様を、ゲーム画面は映し出していたからね。



そしたら……。




「お前はもう死んでいる!!」




おおっと、このセリフ!


明らかにケンシロウやないですか!!


待ってたで、ケンシロウ!!
(歓喜)




はい、ケンシロウ。


登場するや、いなや。

力自慢が揃っている魔皇帝の部下達を、自慢の北斗神拳で次々と倒していきました!



凄い!

凄いぜ、ケンシロウ!!



「いやぁ、やっぱケンシロウは強いなぁ。

さすが、ジャンプ史に残る格闘漫画の主人公だけあるわ」




ゲームながらも、ケンシロウの強さにうっとりとしながら俺見ていると、ココで思わぬ一大事。



なんと、ケンシロウの目の前に大きな岩が転がってくるではありませんか!



「ハハハ!!


おいおい、天下のケンシロウやで!


そんな岩、ケンシロウやったらパンチ一発で破壊してまうって!!」



俺、余裕ぶっこいて見ていました。



そしたらね。

何か様子がおかしい……。



それどころか、岩は
ゴロンゴロンとそのまま転がっていき、ドットで描かれたケンシロウの上を綺麗に通過していくではありませんか。



「アレ?

ケンシロウ、岩の下敷きになれへんかったか?」




俺、こう思いました。



そしたら、次に衝撃的なナレーションが!




「北斗神拳伝承者、ケンシロウは死んだ!!」




えぇーーーーっ!!
(驚愕!)




「うそやん!!

ケンシロウ、死んでもうたやん!!



っていうか、ケンシロウ死ぬんやったら、このゲーム。

なんで、『北斗の拳』なんてタイトルにしてんねん!!」




いやぁ、あまりの衝撃的な展開に、俺。


驚きを隠せませんでしたよ(笑)



けど、そんな俺のボヤキをよそに、ゲームは進んでいき、画面は主人公であるを映し出しました。



ゲーム内容は、ドラクエタイプのRPG。


町の人達の話を聞いて、敵を倒して進めていくっていうありがちなゲームですわ。



「ってか、ケンシロウが
死ぬって、どういう事やねん?


オリジナルストーリーでいきたかったら、『北斗の拳』なんてタイトルつけんなや」



俺、憤りを隠せなかったけど、もはや後の祭り。



まぁ、死んでしまった人は帰ってこないので、仕方なくもう少しゲーム内容に乗ってやる事にしました。
(上から)



町の外に出ます。



すると、敵出現!



まぁ、タイトルに
「北斗の拳」って銘打ってるだけありますな。



敵、思いっきり
「北斗の拳チック」やもん!(笑)



主人公こと、俺。



渾身のパンチを、敵に浴びせます!


そりゃ!



ダメージ、2



「弱ぁ……」
(半泣き)



はい、敵。


怒ったのか、主人公に強烈なキック!!



ダメージ、18



いや、ちょっと待って……。



なに、それ?


ダメージ18?



主人公である、俺の9倍のダメージを与えてきてるやないか!!


こんなん、勝てるかっ!!



当然の事ながら勝てるハズなく、主人公こと俺。


あっさりと絶命!



しかし、その時。

天の声……が。



『そなたにもう一度機会を……』



なんですか?


復活さしてくれて、もう一回チャンスを与えるって事やんな?



でも、スンマセン。


僕、ケンシロウが死んだ時点で、かなりお腹一杯です(汗)



そら、友人も言うわな。



「いらんから、やる」

って(笑)




はい、お気付きの皆様もいると思うでしょうが、このゲーム。




完全に“クソゲー”でした(笑)




さて、ほならそろそろ寝ます。



おやすミルミル。



では、さらばじゃ。
(ρ_-)ノ