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「時計36」の投稿で、点検に出していたと述べた手巻の2本が戻ってきた。(画像1、2。画像1は表面、裏面。)

取り敢えず結果だが、「Breguet」の「TRADITION 7027」も「PIERRE KUNZ」の「CUPIDON」もどちらとも磁気を帯びていた。
使用していても、精度に影響する程では無かった為、全く気が付かなかったが、やはり電気製品が常に身の回りに有る今日、時計も帯磁し易い環境である。
勿論磁気抜き処理を施した。
耐磁ケース等で在れば磁気にも強いのだが、どうしてもケースサイズは大きくなるし、ムーブメントを覆わねばならない為、シースルーバックでは無くなるという欠点が有る。実用モデルやダイバーズウォッチでは仕方が無いのかもしれないが、個人的には、今回の様に定期的に点検をすれば大丈夫だと思っている。(当然、防水性能等と同様に耐磁性能も有るに越した事は無いが。)

今回は、精度の点検以外に螺子やピンと言った部品の弛みが無いかや竜頭等の機能点検もして頂いた。
幸い、弛みも不具合の有る箇所も見受けられ無かった。

そしていつもの精度の点検。歩度の結果は以下の通りである。

TRADITION FULL WIND(50h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置  日差+20
縦置き 3時上位置  日差+23
縦置き 12時下位置 日差+15
平置き 文字盤上位置 日差+23
平置き 文字盤下位置 日差+28
(今回、テンプ振り角は調べて無い模様。)

前回(「時計29」の投稿参照)は+8~+14という日差だった為、随分と進み具合が進行しているというのが解る。姿勢差も大きくなっている様だ。

CUPIDON FULL WIND(37h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置  日差+20
縦置き 3時上位置  日差+7
縦置き 12時下位置 日差+22
平置き 文字盤上位置 日差+5
平置き 文字盤下位置 日差+14

前回(「時計14」の投稿参照)に較べ、やはり進み気味で姿勢差も大きくなっている。しかし3時上位置の縦置きや文字盤上位置の平置きは前回よりは遅れ気味になっている。尤も、それでもまだ+なのだが。

過去と比較すると、やはり徐々に精度が落ちてきているという事が解る。OH(分解清掃及び再調整)時にはまた良い精度に戻る事だろう。因みに嫁の時計であるBreguetの「CLASSIQUE 8067」は、OHで±0~+9という日差で帰ってきた。(「時計33」の投稿参照)これ位の歩度と姿勢差なら優秀な精度だと思う。
補足だが、季節(気温等)も精度に影響が有ると聞く。一般に夏は遅れる傾向で、冬は進む傾向に有るらしい。調整する職人には本当に頭が下がる。

点検を終え、精度は兎も角、時計としては特に問題が無くて良かった。これからも定期的に点検して、良いコンディションを維持して行きたい。そして来るOH時は、また素晴らしい精度となる事を楽しみにしよう。