過去にも述べたが、機械式時計は、人間の身体の様なモノで、定期的に点検(検診)し、悪い箇所(疾病)が見つかれば、早期に修理(治療)する事で、末永く使用する事が出来る。
中でも、「ブランドが存続する限り、どんな古い時計で在ってもメンテナンスする」と豪語するブランドがいくつか有る。
殆どの時計ブランドは、生産を終了したモデルを修理する場合、部品の在庫が有る分しか修理する事が出来ない。大抵は永いブランドでも生産終了後約30年で修理不能と言われている。
勿論、正規の修理で無い方法、即ち時計修理を個人的に受け持っている方や会社に修理を依頼して直す事は可能である。こういった時計修理は、損耗した足りないパーツを自作して補う事が出来る。
しかし、ここにひとつの問題が有る。並行輸入品でも有り得る事なのだが、殆どの時計ブランドは、パーツに明らかに自社(純正)では無いモノが混じっている場合、その時計を本物と見做さない事が多いらしい。
つまり、パーツが欠損した場合、そのパーツをそのブランド(若しくは供給している会社)で購入して修理すれば本物という扱いだが、自作して補った場合、時計としては本物でも、ブランドはそれを本物として扱わないという事が有る、簡単に言うと改造品の様な扱いであろう。
並行輸入品にはこの純正以外の修理の可能性が有り得るのだ。確かに時計自体は偽物では無いが、業者が購入してから販売するまでに生じた異常をちゃんと正規のルートで修理しているという保証が無いからだ。信頼出来る店舗で購入するのが賢明であろう。
たかが修理、されど修理‥
先に述べた、どんな古い時計で在ってもメンテナンスをするブランドは、多少高価であってもその分の安心感を得る事が出来る。(尤も、ブランドが倒産して無くなってしまえばどうしようも無いし、ブランドは存続していても日本からブランドが撤退すると、メンテナンスが困難になるという場合も有るだろう。)
その中でも有名なのが「PATEK PHILIPPE」である。
「気持ちを刻み込んで、その時計は受け継がれる。父から子へ、世代から世代へ。」のキャッチコピーは、まさにその保証とPATEK PHILIPPEの在り方を謳っている様だ。(画像、そのキャッチコピーの書かれた広告と私の「Nautilus 5712/1A」。)
私がPATEK PHILIPPE等を好きな理由には、この様な保証も含まれている。貧乏な私には時計をなかなか使い捨てに出来ないのだ。要するに貧乏人の時計の選び方という訳だ。
(勿論、安い時計を買い換え続けるという方法も有るが、それでは時計好きとは言えないし、私自身納得出来ない。また貧乏故、基本使い捨ては余り好きでは無いのだ。)
今回は、PATEK PHILIPPEを代表として保証について述べたが、その様な長期の保証で無くてもやはり、定期の点検は重要である。大抵、時計の点検は、購入店では無償で行なってくれる筈だ。皆も大切にしている時計が有るのであれば、取り敢えず点検して状態を確認しておいては如何だろう。
そして末永くその時計を愛用して頂きたいと思う。
私も点検に出した時計が帰ってくる日を心待ちにしていよう。