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「PEQUIGNET」。
このブランドは、時計ブランドで有りながら、男性より女性の方が身近に感じるブランドかもしれない。

1973年、エミール・ペキネによって創業したPEQUIGNET。現代においては数少ない、フランスの時計メーカーである。

これまでのコレクションはどちらかと言うと、ファッショナブルなデザインの時計が多く、それ故女性に受け入れられたのであろう。
悪い意味では無いが、デザインが秀逸な時計ブランドなので、時計の仕上げやムーブメント、機能等で魅力を感じるモノは余り無かったのだ。(殆どが「ETA」のムーブメントをそのまま用いた時計でありクォーツが多い。)またスイスやドイツという現在の時計王国の代名詞ではないフランスのブランドという事も有り、男性からすると「時計」への憧憬の対象では無かったのかもしれない。
結果、女性中心で男性には余り縁の無い時計ブランドとなってしまったのではないかと思う。

しかし、2009年、PEQUIGNET初である本格的な機械式の自社開発のムーブメント「CALIBRE ROYAL」(画像1)の開発に成功、そしてこのCALIBRE ROYALを搭載した時計は、傑作と言えるモノであった。今回はそのCALIBRE ROYALを搭載した代表作「RUE ROYALE」(画像2)を紹介したい。

特筆すべきは、RUE ROYALE(CALIBRE ROYAL)の完成度の高さである。機能は勿論、その使い易さや価格等で高い評価を得ている。
まず機能面では、デイデイト(曜日、日付表示)、パワーリザーブインジケーター(自動車で言う燃料計の様に、駆動するエネルギー残量の表示)、そしてムーンフェイズ(月齢表示)にスモールセコンド(時分針と同軸では無い秒針)を持つ。更に、デイトはビッグデイト(1の桁と10の桁が独立した日付表示)となっているのだ。
多機能且つ利便性に富んだ機能である。特に私は、パワーリザーブインジケーターが機械式時計の中でも非常に便利だと思っている。このRUE ROYALEでは、実質は(シングルバレルで)88時間駆動するのだが、パワーリザーブインジケーターの表記は72時間となっている。これは、72~0の区間が精度を維持出来る(等時性が保証されている)状態、0~16の区間が精度の保証は無いが駆動可能の状態を表す。これは、今までに無い表記だが、当然ゼンマイの力が無くなってくると精度に影響する。つまりRUE ROYALEのパワーリザーブインジケーターは「ゼンマイの力の残量」を示す事だけでなく「精度を維持出来る残量」も示したのだ。

さて、機能面を更に掘り下げると、パワーリザーブインジケーター以外にもその利便性を考えられた点が、沢山見えてくる。見易いビッグデイトとその隣に配置された曜日表示のデイデイトも、深夜12時調度に切り替わる、俗に言うデイトジャストである。更に、通常禁忌とされる22時から2時の日付操作も逆戻しも可能という安心設計で、竜頭ひとつで全て操作出来るという点も見逃せない。私は機械式時計では合わせるのが面倒なので、日付等の表示は無くて良いと思っていたのだが、RUE ROYALEの様に手軽に合わせる事が出来るのなら有っても良い(時計に因っては是非付けて欲しい)と思う。

精度や耐久性も大いに期待出来る。88時間と言うロングパワーリザーブで振動数21600bphのロービートを採用した点や、フリースプラングに両持ちのテンプ受けを採用した点からもその片鱗が伺える。

デザインに関しては流石である。非常にインダイヤルのバランスが良く見易い。クラシックとモダンを巧く両立させており、年齢に関係無く使い易いだろう。ケース径は42mmと少々大きいが、インダイヤルが多い分この位のサイズの方がベターなのかもしれない。

そして、もうひとつ重要な事が有る。勿論価格である。優れたムーブメントの開発には永い開発期間が掛かり当然その分の予算が掛かる。複雑になれば猶更だ。
しかしRUE ROYALEはこれだけの性能を有しながら、SS(ステンレススチール)のエントリーモデル(画像3)では\693,000という驚異のプライスでの販売となっている。個人的には100万でも安いと思うのだが。
この価格設定は本当に素晴らしい。アフターサービス等に関してはPEQUIGNETというブランドが機械式時計で積み上げた実績が無いので、正直不安が有るが、この価格の前には些細な事である。

RUE ROYALE以外にCALIBRE ROYALから派生したモデルに「PARIS ROYALE」、「MOOREA ROYAL TRIOMPHE」が有る。ムーブメントに関してはムーンフェイズを外した(又はムーンフェイズの位置を変更)位の違いである。
PARIS ROYALEはゴールドケースのみなので、価格はその分高額である。ケース径は41mmでRUE ROYALEよりエレガントな雰囲気を狙ったモデルか?
MOOREA ROYAL TRIOMPHEは、ブラックサンドブラスト仕上げのチタンケースに18KRGを配したスポーティなモデルで、ケース径は44mmとかなり大きい。最近の俗に言う「コンビ」の時計(大抵はSSと18KYG)では一番格好良いと思った時計である。チタンブレスレットタイプとラバーストラップタイプが有る。「MOOREA」は古くから有るPEQUIGNETを代表するコレクションだが、そのMOOREAにCALIBRE ROYALを搭載する事で、全く新しいコレクションに為った様に感じる。尚価格はラバーのモデルでもやはり18KRGを使用している為RUE ROYALEより若干高額である。
どれもオススメだが、価格も考慮すると、やはりRUE ROYALEが一番魅力的だと感じる。

貴方もRUE ROYALE(等)で新時代に突入したPEQUIGNETを体験してみては如何だろう。フランス発の「ユーザーの為」を考え抜いて作られた時計、その評価はこれから更に上がっていくに違いない。