実は、「某宝飾時計店14及び15」の投稿で述べた「Breguet Fair」等の投稿の前に、記事にしようと思っていた内容が有ったのだが、写真をPCに取り込んだ後、ブログにUPする前にPCが壊れた為、投稿を諦めていたのだが、何とか画像をサルベージ出来たので、折角なのでやはりブログにしようと決めた。
記事の内容については前後するが勘弁願いたい。
某宝飾時計店のBreguet Fairの約一週間前、その系列の別店舗がリニューアルオープンするという事で、足を運んでいたのだ。
今回はリニューアルのイベントとして、ジュエリーデザイナーが手掛けたジュエリーが多数展示されていた。
唯、個人的には、購入を考える様なモノは殆ど無い。
私の場合、ジュエリーではデザインは勿論大切だが、それと同様に、作り込み等を重視してしまうからだ。
そういったジュエリーの代表格こそ「NIESSING」である。無垢の金属の塊より高圧を掛けつつ削り出した、レーシングカーの鍛造ホイールと同じ様な工程を経て完成した指輪や、指輪の張力(テンション)によってダイヤモンドを留める唯一のセッティング、「ニーシング・セッティング」を発明したりと、その技術は随一と言えるブランドだ。
つまり、真似が出来ないオリジナリティの極めて高いプロダクトばかりなのだ。特にNIESSINGは、動きの有るジュエリーが多く、そのひとつひとつに「遊び」というか「玩具」の様な楽しさを持ち合わせているのが、私には更に魅力となっているのだ。
また、世界5大宝飾店「Grand Cinq」は、ジュエリー業界を牽引してきた老舗ならではの作品が多いと思う。低価格帯のモノも仕上げが均一で、しかも丁寧だ。(無論例外も有るが・・)
特に「Van Cleef & Arpels」のハイジュエリーではミステリーセッティング等を用いた芸術的な作品に目を奪われる。
ジュエリーデザイナーはデザインは秀逸なモノも多いが、細部の仕上げはどうだろう。製品の品質にばらつきが大きい様に感じる。その粗さが、手作業による手作り感と言えばその通りなのだが‥
こうなるとジュエリーデザイナーの商品は、良くないと勘違いされる方もおられるだろうがそうではない。
良心的な価格で、1点モノのジュエリーをオーダーする場合や、貴石を主にしたジュエリー等はむしろこちらの方に軍配が上がる。(何しろ有名ブランドでは、一点モノのジュエリーをオーダーする場合、どれ程の予算が掛かるのか検討も付かない。その上ハイジュエリーでないと受けて貰えないのではないだろうか?)
有名なブランドでは、使用される貴石が限定されているのだ。例えば青い石なら殆どがサファイアである。色合いによってアクアマリンやブルートパーズ等を用いる事も有る。
しかし、パライバトルマリンやアイオライト、タンザナイト、アウイナイト、カイヤナイト、ベニトアイト‥更にラピスラズリやターコイズ、アメシスト。
青(藍)でも様々なモノが存在する。またアイオライト等は多色性を示すのが特徴で、見る方向によって透明な色になったり、緑や黄色っぽい色に見えたりと様々な表情が楽しめる面白い石だ。
しかし、ジュエラーは貴石1点を主眼に置くジュエリーの製作は少ない。カラーストーンはパヴェ状にセッティングし、金属に貴石でモザイクの様に色を付けるのが主である。
多色性を示す貴石は、方向によって色が変わるので、決められた色を付ける為のセッティングには向かないし、何より均一な色にならない。
また、よく使われるルビーやサファイアはコランダムで硬度が高い。最高の硬度を誇るダイヤモンドと並び、ジュエリーとして扱い易い石なのだ。
そしてルビーやサファイアは人口でも作る事が可能な上に、加熱処理によって比較的均一なカラーを与える事が出来るというメリットも有る。
その為、ジュエラーでは、採用される石が大まかに決まってしまっているのではないだろうか?
それでは、多色性を示す石から、シャトヤンシー(猫眼効果)を持つ石、遊色効果を持つ石、カラーチェンジストーン、他にも多種多用な貴石は、どの様に使えば良いか?
それことジュエリーデザイナーの出番であろう。1点モノのルースにはその石の形状や色、特徴を生かしたデザインやセッティングが相応しい。
要するに、ジュエリーを楽しむと言うより、貴石を纏う事を楽しむ場合にこそジュエリーデザイナーの真価が問われるのではないかと思う。
という訳で、私の場合は、こういったジュエリーデザイナーのフェアでは、ジュエリーというより貴石を眺めに行くという感じだ。
今回のイベントでは、通称「アレキキャッツ」という、アレキサンドライトとキャッツアイの両方の性質を持つクリソベリルを用いたジュエリーや大粒のスフェーンを用いたジュエリー等を見る事が出来た。
また、ラフダイヤモンド(ダイヤモンドの原石)を用いたジュエリー等も展示されていた。「DE BEERS」がラフダイヤモンドを用いたジュエリーを手掛けて私も驚いたが、(「東京旅行19」の投稿参照)それからは、「DAMIANI」等もラフダイヤモンドを使ったジュエリーを発表している。ブラックダイヤモンドが昔急に流行りだした時もそうだが、価値無きモノに価値を与えるアイデアには驚嘆する。そして、それがちゃんとブームとして、様々なブランドから提供されるのも面白い。
それにしても美しい貴石は、眺めているだけで目の保養になる。これらは、(人工で作れるモノも多いが)地球が永い時間を掛けて作り出した奇跡の美だ。眩い輝きは、心の疲れを癒す効果が有ると思う。
だが‥実は今回も食べ物を頂くの本当の目的で、リニューアルオープン記念の饅頭と注文していた「京都北山 MALEBRANCHE」の「お濃茶ラングドシャ 茶の菓」を持ち帰る。(画像1)
画像2が中身。饅頭は、富山では有名な和菓子屋「月の屋堂」の「上用万頭」であった。目出度く紅白に金粉が振って有る。ラングドシャは、濃茶を合わせたラングドシャでホワイトチョコレートをサンドしたモノ。茶作り名人「小島確二」氏が育て、茶鑑定士「森田治秀」氏が選定した馨り高い茶葉から、パティシエ「江崎靖彦」氏が濃茶の味と馨りを生かしたラングドシャを作り上げる。
画像3が盛り付けた状態。ラングドシャには「京」「茶」「菓」の焼印が捺して有る。器は、「アニメ3 その2 (食器5)」の投稿でも述べたが御馴染み「Meissen」の「Waves Relief(波の戯れ)」だ。
味だが、上用万頭は、程良い甘みで、中には栗が入っており歯応えと甘みに良い変化を齎せていた。オープン記念品としては十分に嬉しい祝菓子だった。
お濃茶ラングドシャは、濃茶の苦味というか濃厚な抹茶の味を堪能出来た。ホワイトチョコレートとの相性も良く、甘みと苦味がどちらも引き立つ様な感じだ。ラングドシャもチョコレートもどちらも口の中で溶けて味と馨りが広がる。結構好みの味だった。
・・画像が使えて良かった。
結局、煌びやかな貴石も心の疲れを癒すが、やはり私にはまず、甘い菓子が一番という話であった。それから、某宝飾時計店(のとある店舗)はリニューアルおめでとう。今後も私達を楽しませて欲しい。