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「ORICONで史上初アニメキャラ首位」
既に話題になっているが、アニメキャラクターが歌うアニメソングがORICONで遂に1位を取った。

記念すべきそのアニメは「けいおん!」。(原作は、かきふらい氏による、現在連載中の漫画)
私立桜が丘女子高等学校の軽音楽部に所属する女子高生5名の日常を綴ったアニメだ。

部員の平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓が結成したガールズバンド「放課後ティータイム(以下HTT)」が劇中、そしてオープニング、エンディングの曲を演奏する。
軽音楽部という事で、初めからバンドが中心のアニメであった。
音楽(歌)がストーリー上欠かせないという意味では、「MACROSS」「のだめカンタービレ」等と近いモノがある。

けいおん!に関しては、緩いまったりとしたこの部員達の日々を只管に追いかけるだけのモノである。音楽に情熱を注いだサクセスストーリーとは程遠く、放課後は毎日部室で騒ぎながら御茶と御菓子を摘みつつ‥偶にバンドの練習をする、という位である。
しかし、キャラクターの個性は十分に引き出せており、この5名のファンは多いのではないかと思う。
第1期が終了し、今期第2期がスタートした「けいおん!!」。
HTTが歌う第2期オープニングの「GO! GO! MANIAC」(画像1)とエンディングの「Listen!!」(画像2)が何と5月10日のORICONシングルランキングで1位2位を独占するという快挙を成し遂げた。

しかし、アニメソング、アニメキャラクターという事で、他の歌手に比べて余りに扱いが酷いというのが印象であった。
女性歌手によるシングルの1、2位独占は、1970年の「藤圭子」、1983年の「松田聖子」以来で、26年6ヶ月振り史上3組目という偉業である。
勿論アニメのキャラクター名義でのシングル首位は、ORICON史上初。歴史に残る扱いであっても良い筈だ。

更に2009年7月に発売された2枚組ミニアルバム「放課後ティータイム」も、アルバムランキングでアニメキャラクター初の1位を飾ってる。

この偉業にも係わらずこの程度の扱いというのは、「実在しないキャラクターだから」や「アニメだから」といった偏見からではないだろうか?

さて、映像等の情報をシャットダウンして、音楽のみの配信をしていたら、この偉業は達成出来たであろうか?
答えは否である。これはアニメ、そしてアニメキャラクターという存在だからこそ逆に成し得た偉業である。実際に、私は今の所HTTの曲には然程興味が無い。アニメは兎も角、CDを買う程とは思わない。
だが、これは、アイドルやバンドにも言えるのではないだろうか?
今をときめくアイドルも、音楽のみを配信し、その姿や情報を全く見せないなら上位に食い込む事が出来るか?
これも難しいだろう。実際に最近の邦楽のPOPSにも私は余り関心を示すモノが無い。
つまり音楽のみならば、本当に時代に合ったモノや定番のモノしか人気にならない。また、そういうものを全て破壊出来るアイデア、技術、表現、歌唱力を持っていた場合か。

同じ歌を歌ったとしてもやはり美人や格好良い方が歌う方が絵になる。
アイドルというのも偶像の意味そのもので、その容姿が重要だ。歌が良いから売れるとは限らない。その「キャラクター」のファンだから良いと思い込んでいるのだ。

私の好きなヴィジュアル系と呼ばれるバンドも同様だ。ステージや衣装(メイク)のパフォーマンスが無ければ、世界観が随分と矮小なモノになる。
逆に容姿等を気にしない「Enya」や「LOREENA McKENNITT」、「J.S.BACH」、「姫神」等は音楽が純粋に気に入っているモノであろう。別に誰でも良い。(但し、それでも世界観やCDジャケットと言ったヴィジュアル面の印象等は有るのだが。)

要するに、現在の「音楽」は、歌手やバンドのメンバーも含め、ひとつの「キャラクター」として売り出しているに過ぎない。それではHTTと何が違うのだ?HTTは、各声優が唯役(豊崎愛生)、澪役(日笠陽子)、律役(佐藤聡美)、紬役(寿美菜子)梓役(竹達彩奈)とそれぞれ演じているだけである。
バンドでも、本名で無く、普段の自分とは全く違うもうひとつの自分を演出している方は沢山存在する。やっている事は同等で全く差が無いのだ。

HTTが強かったのは、アニメというプロモーションが成功した、と考えて良いだろう。(本当は逆なのだが)
普通の歌手(バンドやグループ)と違い、毎週必ず決まった時間に登場し、新しい日常を見せてくれるHTTは当然ファンの心を掴むだろう。
また、俳優も芸人も、CDデビューして凄いセールスを記録しているが、HTTの声優がCDデビューしてヒットしている事と何が違うというのか。(尤も、バンドなのに演奏に関しては完全に別人なのだが。)
TVで人気が出た人物に歌を歌わせるという行為自体が既にプロモーションである。この際、歌の巧さ等は関係無い。売れるか否か、が重要なのだ。
はっきり言うと、如何にプロディースが重要かに尽きる。

プロデュースで有効な手段のひとつに、タイアップという方法が有る。歌手は歌手で人気が有り、アニメ(ドラマ)も歌手とは無関係無で人気とある。そして、アニメを見た方は、そのオープニングやエンディングに流れる曲も刷り込まれて好きになる。タイアップ曲は歌手とアニメファンの双方に気に入られるのだ。(歌手のファンがアニメを好きになると言う、逆の場合も有り得る。)
ヒットする条件が揃っているのだ。そして、タイアップの場合は、アニメの人気に因る効果は殆ど語られる事は無い。

結局ヒットするしないは、曲の良し悪しよりプロデュースに掛かっている部分が大きい。(そういうモノを超えた名曲も勿論有るが)なのでHTTが1位2位を取っても全く可笑しい事は無い。
それでも、扱いが小さいのは根強い偏見から生み出されている現象だろう。漸く「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」のみ私達オタク以外にも受け入れられる作品と認識される様になってきたが、他はまだまだという感じだ。
アニメという偏見を早く無くして欲しいと思う。そうすれば、HTTももっと大々的に取り上げられ、誰もがこの偉業を褒め称えた事だろう。
実際にアニメソング等の中にも名曲は沢山有る。それをもっと多くの方に理解して頂きたいと私も思う。

‥それにしても、個人的には音楽漫画の「爆麗音」をアニメ化して、更にCDも出して貰いたいのだが‥これは無理か!?(けいおん!と同じバンドの漫画だが、不可能な演奏ではないかと思う。)