「ULYSSE NARDIN 天文時計三部作」の投稿以来だが、今回は時計では無い商品である。
何と自動巻きのローターが付いている?携帯電話「Chairman」だ。(画像1)
機械式時計付きの携帯電話?、ゼンマイ仕掛けの携帯電話?と言った様々な憶測が飛んでいるが、どうも携帯電話には違い無い様だ。
私も興味が沸いたので、少々調べてみたが、確かに背面にローターが付いている。(画像2)
しかし、表面の時計は液晶画面にULYSSE NARDINの腕時計の文字盤を映したモノであった。
ローターについて調べてみるとなるほど、「SEIKO」の「KINETIC」に近いモノだと思われる。自動巻きの機械式時計は、時計の動き(姿勢の変化)によって錘(ローター)が自重で回転し(常に下方へ移動する。)、その運動を利用してゼンマイを巻き上げる仕組みである。
SEIKOはその仕組みを発電に応用し、クォーツ時計で電池交換の必要無い、腕に付けている限り動き続けるKINETICという発明をした。ローターが廻る運動で、コイルによって電流に変換し、クォーツ時計を駆動させるのだ。
素晴らしいアイデアだが、現在クォーツ時計にはそれ程採用されていない機構である。太陽光で充電するソーラー時計等が安価且つ手軽な為、主流となっている。
しかし、KINETICのその機械式時計的な機構が多くの人々を魅了しているのも確かだ。機械式時計のアナクロな技術とクォーツ時計の精度を持つ時計だからかもしれない。
そしてULYSSE NARDINは、その自動巻きによる発電を携帯電話に応用したようだ。
確かに毎日何処に行く場合も手放せない携帯電話は、持ち運ぶ事で充電出来るのであれば、都合が良いだろう。多少充電せずとも長時間使用出来るし、電池が切れたとしても、いざと言う場合には発電すれば使用出来る。
なかなか面白いアイデアだ。唯、個人的には携帯電話の場合は常に上下を決まった方向にして持ち運ぶモノだと思うので、意味的には懐中時計に近い。つまりローター式よりは「Breguet」のペルペチュアル式の方が効率が良い様な気がする。
ペルペチュアルは左右に揺れる事でゼンマイを巻き上げる自動巻き方式である。「PERRELET」の祖アブラハム・ルイ・ペルレが考案した、現在の腕時計に使われている回転ローターを用いた自動巻きは、常に上下が決まっている懐中時計では回転する事が殆ど無い為効率が余り良く無く、それをBreguetの祖アブラアン・ルイ・ブレゲが左右に錘が触れるペルペチュアルに改良し、非常に好評を博した。同じ様に携帯電話でもペルペチュアルの方が良いと思うのだ。
更にケースサイドの竜頭は、巻く事で充電が可能らしい。「KINETIC DIRECT DRIVE」に近いシステムだと思う。
KINETICについてばかり述べたが、Chairmanには、
2.8インチのタッチスクリーン
指紋認証システム
インターネット アプリケーション
5メガピクセルカメラ
Wi-Fi
等を備えている。
モデルは18KPGとスチールが有る。カラーはかなり種類が有る様だ。
価格は不明だが、末永い使用を可能にする為、アップグレード(ソフトウェア・ハードウェアの両方)や時計のOHの様なサポートサービスを提案しているらしい。素材の選択とサービス、手作業も行っているらしいのでかなり高額な携帯電話になるのではないだろうか。
ケースサイドのプッシャーの効果も不明である。まだまだ参考商品の域らしいので詳細が判り次第随時更新しようと思う。
貴方もこのChairmanを懐に忍ばせてみては如何だろう?その高級感と存在感、そして機械式時計的な機構は、腕時計の様に永い伴侶となって常に貴方の傍らに寄り添うだろう。