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続いてMemories of Cartier creations directed by Tokujin Yoshioka Story of・・・(以下Cartier creations)」へ向かう。東京国立博物館内で同時展示されている「国宝 阿修羅展」は凄い行列が出来ていた様だがCartier creationsはスムーズに入場出来た。(確かに国宝は比べるに値しないが・・)
Cartier creationsは日仏交流150周年記念に吉岡徳仁監修の元「めぐり逢う美の記憶」と題して行われた。(画像1、チケット及び館内案内)

素晴らしい作品が並んでいた。私が考える質の高いCartierそのモノと言った印象を受けた。現在一般に販売されているCartierのジュエリーは私が考えるCartierの品とは程遠い。
昔は世界5大宝飾店「Grand Cinq」の一員で有ったCartierは、大衆向けでなく一部の富裕層の為に作られていたクオリティの高いジュエリーこそその本質ではないだろうか?
展示品はその(私が考える)本質に近く、まさに「宝石商の王にして王の宝石商」に違いなかった。今回の展示ではストーリー仕立てにその優れたジュエリー(及び時計等)を見る事が出来る。

私がCartierと聞いて一番に思い描くのはやはりミステリークロックである。
そして宝飾としては異国情緒。オリエンタル、ジャポニズム、シノワズリそしてエジプシャン・・
表現として正しいかはわからないが、そういったモチーフをフランス風に解釈しそして昇華したデザインがCartierの真骨頂な気がするのだ。
このCartier creationsに展示されているモノこそが真にCartierなのだと思う。私達が手に出来るモノにこの完成度のモノは存在しないと断言出来る。(Cartierというブランドが大きくなり過ぎたからか、これらハイジュエリーとジュエリーのクオリティの差が余りに大きく感じる。普通のジュエラーはそれ程酷く無いのだが。)

ではCartier creationsに話を戻そう。吉岡徳仁氏の美しくそして趣向が凝らされたディスプレイは、流石だと感じた。ムービー等の映像と展示品が巧みに一体となって、歴史と共にその存在を華やかで幻想的なモノにしている。
しかしひとつ文句を言わせて頂くと、この美しいディスプレイでは、Cartier至高の逸品とも言えるミステリークロックのミステリーが引き立っていないのだ。
ミステリークロックは透明な文字盤にジュエリーの針が宙に浮かんで時を刻む時計だ。その佇まいはミステリー(不思議)そのものだが、背面が黒で透けている感が伝わり難く、その凄さがイマイチ伝わっていない。
他のジュエリー等はこのディスプレイで良いが、ミステリークロックはミステリーを十分際立たせるべきではないだろうか。

展示で記憶に残ったモノはやはりミステリークロックであろう。
「Model A」(画像2)と「Larege Portique」(画像3)は代表作だ。「Transparent Chronograph」の投稿でも述べているが、刻を照らす針のみがクリスタル内に浮かび上がっているなんとも幻想的な時計だ。「ロベール・ウーダン」が考案し、「モーリス・クーエ」がCartierのミステリークロックを手掛けた。繊細かつ豪華な美しさと大胆なデザイン、そして新しいアイデアを組み込んだジュエリーウォッチの頂点のひとつとも言えるCartierらしい時計ではないか。

ミステリークロックの動画については、http://www.cartier.com/en/The_Maison_Cartier/History/The_mystery_clocks のURLで見る事が出来る。

ハイジュエリーでは、マリア・フェリックスがオーダーした「Crocodile necklace」(画像4)、パティアラのマハラジャ、ブピンドラ・シン殿下のオーダーのネックレス「The Maharajah of Patiala's necklace」(画像5)等が荘厳な輝きを放っていた。(ただしThe Maharajah of Patiala's necklaceはレプリカで234.69ctの「DE BEERS」イエローダイヤモンド等がジルコニア、シンセティック等に変更されている。しかしそれでも素晴らしい。)

そしてCartier creationsのラストはパフュームの馨りで締め括られる。嗅覚記憶を用いて馨りと共に今日の想い出を脳に記録し、今後同じ馨りを感じる事で、今日を呼び覚ますとの事。(よく解らなかったのだが・・)様々な感覚器を刺激した展示会だった。

宝飾・時計好きな私は、今回のCartier creationsで展示されていた品の公式カタログを購入。(画像6)このカタログも大切な土産となった。