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「日記6」の投稿で、富山に「SEIKO」の「CREDOR SPRING DRIVE SONNERIE」が展示されていた事を述べた。
日本が世界に誇る時計のひとつであった。
今回はそのSEIKOのもうひとつの傑作である「CREDOR NODE 叡智」が富山に来たので見に行ってきた。(画像1)
この叡智の最大の特徴は文字盤及び竜頭に「Noritake Company,Limited」の陶磁器が用いられている事だと思う。

Noritakeは世界でも有名な日本の陶磁器ブランドである。その美しい白と青が、時計上で見事に再現されている。勿論バーインデックスやCREDORのエンブレム等は絵付師による手書きである。
ドイツの「Glashütte ORIGINAL」が同じくドイツのブランドである「Meissen」を文字盤に用いた様に、叡智も日本の伝統のコラボレーションとして世界に通用する時計となった。(気に入らないとすれば、透かしの様にダイヤルに入っている247の数字だ。)
主張し過ぎない、気品溢れたまさに日本的なドレスウォッチであろう。

当然ムーブメントも日本(SEIKO)独自であるSPRING DRIVE機構を更に発展させ、丁寧に磨き込まれている。
叡智のムーブメントに初めて投入されたのが「トルクリターンシステム」という機構だ。SPRING DRIVEの特徴であるトルクの太さを利用したモノで、最大に巻き上げた状態から凡そ35時間はぜんまいの余剰エネルギーで自らを巻き上げるという廃熱利用の様なアイデアを組み込んでいる。無論余剰エネルギーの利用なので精度等に影響が出る訳では無い。
これによって、ぜんまい自体のパワーリザーブは48時間なのに対して、実際には60時間のパワーリザーブとなる様だ。

スイスでは、ぜんまいの巻上げから解ける事に対するトルクの減少から、チェーンフュジーやルモントワール等を用いて均一なトルクにする事で精度を保とうとしたが、SPRING DRIVEは調速に水晶振動子を用いる為、実質的なトルクの減少に精度が左右される事は無いのだろう。その為、トルクを有効に活用しパワーリザーブの延長を行ったという事だ。

シースルーバックから覗くムーブメントも特徴があって、日本らしい清楚な印象だ。(画像2)地板の装飾はコート・ド・ジュネーブでは無く、サテン仕上げ状となっている。ツゲ模様との事。また香箱とその左側の歯車が太陽と月の様に見えるのも何処と無く風流である。

ケース径は35mmで日本人の手首に合うサイズ。(画像3)CREDOR SPRING DRIVE SONNERIEは巨大過ぎて身に着けて美しい時計では無かったが叡智は手に馴染む。素材はPT950。細かな部分も丁寧で良い。
針は、先端を細く砥ぎ出し立体感も有る優れたディテールだが、残念ながら針は青塗りの様に見受けられる。(基本的にSEIKOは青塗りなのだが。)

価格は\5,775,000。
年間5本の生産本数という事で、予約はこの価格でもかなり入っている模様。実物を拝む事が出来たのは非常に幸運であった。

日本製こそ世界で一番と思っておられる方は、是非このCREDOR NODE 叡智を身に纏って頂きたい。紛れも無い、日本の技術と伝統が詰まった世界一のドレスウォッチのひとつだ。この時計に触れずして日本の時計は語れないだろう。