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「12RIVEN -the Ψcliminal of integral-」。
「他我問題」の投稿の内容が語られる「KID」から発売されたアドベンチャーゲームである。

ストーリーは、
2012年5月、高校生の錬丸のところにメールが届く。
「今日『2012年5月20日:正午』
 ――ひとりの少女がこの世を去る
 殺されるのだ あの『インテグラル』の最上階で……
 少女の名前は『ミュウ』……
 おまえがよく知っている名前だろう
 あのときの約束を 誓いを 思い出せ――錬丸」

一方、特殊公安捜査官の鳴海のところにもメールが届く。

「鳴海先輩 たぶんこれが最期のお願いなるでしょう。
 今、ひとりの少女が命を奪われようとしています。
 少女の名前は『ミュウ』
 殺害の時刻はおそらく『正午』
 場所は『インテグラルの最上階』
 先輩、お願いです。彼女を――ミュウを守ってあげてください。
 絶対に何があっても、彼女を失ってはなりません。
 あの計画――『第弐エクリプス計画』を阻止するためには、どうしても彼女の存在が必要なのです。
 鳴海先輩、今まで本当にありがとう。
 いつか再び、逢えることを信じて……。
 ――真琴――」

現場に急行するふたり、
そこで目撃したものは、見たことの無い術 Ψ を使う連中だった。


このゲームも、旧作である「Ever17 -the out of infinity-」(「コンピューターゲーム4」の投稿参照)や「Remember11 -THE AGE OF INFINITY-」と同様、主人公が2人おり、違う視点によるゲームとなる。
はっきり言うと、完成度はEver17 -the out of infinity-がやはり一番高いと思う。Remember11 -THE AGE OF INFINITY-はシナリオの完成度や、私達プレイヤーを騙すトリックの完成度は非常に高いがすっきりと終わらない。12RIVEN -the Ψcliminal of integral-は、大団円として終わるが、トリックやストーリーにイマイチ納得のいかない所がいくつか見受けられる。
しかし、まあ御都合主義と考えれば楽しめたと思う。

少々ネタバレになるが、このゲームの最も重要なテーマが、人間の意識についてである。

まず、人間(動物)は、脳で判断した行動と、無意識で行う行動がある。例えば瞬きや欠伸。瞬きしようと思って、瞬きする人はいないし欠伸をしようと思って欠伸をする人もいないだろう。
では本を読もうと考えた。それは意識して行う行動だろう。
しかしその上で、身体は無意識にページを開き、目は本の内容を追う。歩くのも同様である。右足と左足のバランスを取って交互に前に出すと考えながら歩く方はいないが、目的地まで歩こうとは考える。
つまり人間が、自分で意識して行動するのはほんの一部に過ぎないという事だ。殆どが無意識に行う行動だと理解して頂きたい。

そして人間は、常に様々な刺激(とりあえず五感で良い。)を感じている筈だが、それを普段意識していないのは非常に多くの刺激という情報に晒されているからである。つまり、その情報の必要な分だけ抽出し脳に送る作業をなされているという事らしい。
その情報の選別を無意識に決定しているのだ。勿論これも脳(脊髄反射の場合も有るが)で行っている。
その選別作業から伝達までには約0.5秒掛かると言われている。これが認識するまでのタイムラグとなっているのだ。
即ち私達が知覚している(意識出来る)世界は、情報を所得してから0.5秒後の世界となる。今見た景色は、実は0.5秒前のモノなのだ。
更には、その0.5秒前に脳は無意識に行動を決定してるという。手を上げようと考える0.5秒前には脳は手を上げる信号を送っているらしい。要するに、私達が意識している行動も無意識に決定しているという可能性が有るという事だ。

このテーマにSF的な要素が加わったのが12RIVEN -the Ψcliminal of integral-。他我問題もそうだが、意識というテーマが非常に重要になってくる。
物語はテーマの御陰で破綻している点が見受けられるが、なかなかに考えさせてくれる内容だ。自問自答が出来るので、そういった意味では面白かった。