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時計の話題が続くが申し訳無い。出来るだけ均等に記事を投稿しようと思っているのだが、「CUPIDON」を購入した所為か、少々ネタが時計に偏ってしまっている。

今回は、「歩度」について。「訪問者2万人突破。お礼。」の投稿でのネタの募集に対して「★★薔薇色の誘惑★★」の「響様」から「sunaphさんがお持ちの時計の精度が気になります。という事で精度の記事なんてどうでしょうか?」というアイデアを頂いた。
響様は私の憧れの時計をいくつも所有されており、中でも「A.LANGE & SÖHNE」の「1815CHRONOGRAPH」は、私が欲しい時計の中でも常に上位に挙げられていたモデルだ。他に「F.P.JOURNE」等、時計好きなら垂涎モノの時計を多く所有しておられる。(尚、彼のブログは右下の「お気に入りブログ」より、訪問頂きたい。)

折角のアイデア、参考にしてみようと思った。
‥しかし、実は私は精度にはかなり無関心で、目に見える狂いが無ければ機械式時計の狂いは全く気にしない性格だ。何しろ手巻きが2つ有り、仕事にはクォーツである「SEIKO」の「SUS 6M26」を使っている。機械式は止まっている時間も多いのだ。使う時は竜頭を巻き、適当に時間を合わせる。よって精度を見る事も出来ない。(CUPIDONはパワーリザーブが37時間程度なので更に早く止まる。)

24時間でどの程度の狂いが生じるかという日差を調べる事は困難であった。
よって、行き着けの時計店で「瞬間歩度」という精度の測定を行って貰った。

歩度とは、時計の精度を短時間に測定し、遅れや進みの度合いを日差に換算した値の事である。

機械式時計の場合は、どんなに精密に作って、精度を追求したとしても、重力、姿勢、温度、湿度等の条件によって必ず誤差が生じる。誤差を少なくする為にも歩度の測定と調整は欠かせない。これもまた機械式時計の値段が高額な理由であろう。(故に、調整が殆ど必要無いクォーツは安価で、高精度と言える。)

計測した時計は、「Breguet」の「TRADITION 7027」と「CLASSIQUE 8067」、「PIERRE KUNZ」のCUPIDON。秒表示に関してはかなり面白い。CLASSIQUEはシンプルなセンターセコンド、TRADITIONは秒針が無いが4番車の動きで予想が付く。CUPIDONはスモールセコンドの代わりとも言えるカタツムリカムとそれに連動する20秒でリレーするトリプルレトログラードを持つ。
ただし、瞬間歩度の測定は、テンプの動きを基にして算出するらしいので秒針の動きは関係が無いらしい。
また、大抵はパワーリザーブをフルの状態で計測するのだが、(フルの方が精度が安定するらしい)TRADITIONはパワーリザーブインジケーターが有るので、ハーフの状態でも計測した。

結果である。
TRADITION FULL WIND(50h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 +9
縦置き 3時上位置 +1
縦置き 12時下位置 +4
平置き 文字盤上位置 +8
平置き 文字盤下位置 +7
平置きのテンプ振り角 286°

TRADITION HALF WIND(25h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 +4
縦置き 3時上位置 -1
縦置き 12時下位置 ±0
平置き 文字盤上位置 +8
平置き 文字盤下位置 +2
平置きのテンプ振り角 274°

CLASSIQUE FULL WIND(40h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 +5
縦置き 3時上位置 +8
縦置き 12時下位置 +13
平置き 文字盤上位置 +15
平置き 文字盤下位置 +12
平置きのテンプ振り角 285°

CUPIDON FULL WIND(37h)振動数21600bph
縦置き 3時下位置 +13
縦置き 3時上位置 +14
縦置き 12時下位置 +15
平置き 文字盤上位置 +14
平置き 文字盤下位置 +11
平置きのテンプ振り角 322°

CUPIDONが最も数字が大きいので、一番精度が悪いのかと思ったが、話を聞くとどうも違うらしい。
全て+でしかも各姿勢差の誤差が少ない、と言う事は緩急針で調整する事で、最も精度が出し易い状態で、現在は微妙に速いという事なのだそうだ。
振り角は300°位が理想の様だ。角度が有る程精度は安定するのだが、振り当たりと呼ばれる振り座がアンクルのクワガタに当たって、大きく時間が進むエラーが生まれる危険があるそうだ。

CLASSIQUEは、この中では姿勢差が大きい方だった。テンプが小さい為だろうか?それとも一番初めに購入したからか?しかしCUPIDON同様全体的に+傾向で、誤差も平均しているので、調整すれば安定しそうだ。

TRADITIONは、FULLよりHALFの方が瞬間歩度は良い様に見える。普通はFULLの方が精度が良いと思ったのだが、有る程度ゼンマイが解けた方が安定する事もあるらしい。ロングパワーリザーブのモデルには多く見られる傾向で、FULLで精度を追求するのではなく、長い目で平均的な精度を出す様にしているらしい。手巻きは尚更で、常にFULLの状態である自動巻きとは違うのだ。フリースプラングなので調整は緩急針より大変かもしれない。

どれも「Chronometer」や「Geneva Seal」等の検定を通したモノでは無いし、精度追求を主眼に置いたモデルでもないが、繊細と言われるBreguetやレトログラード等の特殊な機構を持つPIERRE KUNZとしては、比較的安定した歩度では無いだろうか?

詳しい方、是非細かく教えて頂きたい。