「時計13」の投稿で、ダイバーズウォッチに求められる条件「ISO6425」に定める国際規定を述べた。
非常に分かり難いと思うので、自分なりに簡単に纏めてみた。
100m以上の潜水が可能で、「タイムプリセレクティング装置」を有し、水中(暗闇)でも見易い視認性を備える時計。
耐磁性、耐衝撃性、耐塩水性、耐温度衝撃性、外部操作部や付属品の耐外力性を持ち、水圧(空気圧)に耐えうる時計。
水中で必要な操作が行え、操作しても故障しない時計。
このような条件を満たすモノがダイバーズウォッチと呼ばれる。
水中の過酷な作動条件に耐えうる時計でなければ、直に故障してしまい潜水時間が判らなくなる‥即ち死を意味する。
多少の磁気でも狂わず、多少の事では壊れず、海水でも錆びず、温度差や操作で浸水しない。
時計に限らず水廻りの「機械」には至極当然の内容だ。
また、判断力の低下した水中では、モノをしっかりと見る事も難しくなる。見易いスーパールミノヴァ等の針と回転ベゼル等タイムプリセレクティング装置が無ければ、やはり危険だ。水中はボンベの空気の残量が無くなったらやはり命が無い。逆回転防止ベゼル等の誤作動防止はエアの残量を間違えて増えた表示にしない為にも必須だ。
さて、大まかにダイバーズウォッチと呼ばれるに必要な条件は以上だが、他にもダイバーズウォッチならではの特徴がいくつも有る。
まず、竜頭はねじ込み式となっているモノが多い。これは水中での誤作動防止や浸水をより確実に防ぐ意味を持つ。しかし、ウェットスーツ等の着用時にグローブでも容易に操作出来る様、持ち易い竜頭の形状が多い。
ストラップやブレスレットにはエクステンションという機構が備えられているモノも多い。これは、日常の使用とウェットスーツ等の上で使用する際の腕廻りを簡単に調整する事が出来る機構だ。ウェットスーツ等の上から時計を付ける場合は当然スーツの分腕廻りが太くなる。その分を延長出来る仕組みだ。
思った以上にダイバーズウォッチも奥が深い。
しかし、今まであまり興味が無かった分疑問も多い。
例えば、今年発表になった「BLANCPAIN」の「FIFTY FATHOMS」。嬉しい事にシースルーバックとなる様だ。ムーブメントが好きな私としては嬉しい限りである。他に、ダイバーズと付く時計では、「ROGER DUBUIS」の「EASYDIVER」(画像参照)もFIFTY FATHOMSと同様300mの防水が可能ながらシースルーバックである。しかし、シースルーバックでは直流磁界4800A/mに耐える耐磁性を持っているのであろうか?通常のケースであれば、中に軟鉄製の耐磁インナーケースを設け、耐磁性を向上させているらしいが、シースルーバックでは、当然インナーケースは使用出来ない。耐磁性も確実に落ちる。もし4800A/mを満たせなければダイバーズウォッチと名乗る資格は無いのではないか。(FIFTY FATHOMSは元々シースルーバックでは無かったので、今年敢えてシースルーバックにしたのは、耐磁性が確保されているから?)
特にEASYDIVERは、逆回転帽子ベゼルは付いているが、ベゼルに夜光塗料が全く無い様に見受けられるモデルもある。格好良いが、果たして「ダイバーズウォッチ」と呼んでも良いのだろうか?それともダイバーズ風の時計なのであろうか?
ダイバーズクロノグラフも人気である。まさにメカニズムと言った感を受ける。最近では水中でもクロノグラフ操作が可能なモデルも増えてきている様だ。だが、これも疑問だ。果たして水中でクロノグラフを作動させる事は重要なのだろうか?勿論有って困る機能では無いが、ダイバーズウォッチの本質は暗い水中でも。一目で時間が把握出来る見易さだと思う。その為にISOでも視認性を謳っている。クロノグラフでは完全に見易さが損なわれていると思うのだ。どうしても水中でクロノグラフを作動させる必要が有るのであれば、時計を別にした方が良いと私は考えるのだが‥
もし私が考えた通り、FIFTY FATHOMSやEASYDIVERがダイバーズ風ウォッチだったとしたら、真のダイバーズウォッチは実はあまり多く無いのかもしれない。
「Jaeger-LeCoultre」の「Memovox Tribute to Polaris」はインナーベゼルを持つアラームダイバーズだ。アラームは水中でも聞こえるなら非常に便利な機構だと思う。時計を見ていなくとも、時間を教えてくれる。安全性の向上にも一役買っている。
とダイバーズウォッチ難しい事を調べて、色々と難しい事を考えてしまったが、私は夏時計を探しているだけで、有る程度の防水性能と汗に強いストラップが有れば文句が無い。(海にも潜らない。)後は好みである。従ってFIFTY FATHOMSやEASYDIVERがダイバーズ風だとしても気にならないのだが‥