1979年、カナダで創業したORACLEは、独創的なアイデアと優れた品質、そしてそのアイデアと品質を両立させるデザインで、存在を確固たるモノにしたオーディオ機器メーカーである。アナログレコード盤の時代から独自のアイデアを盛り込み、「DELPHI」というフローティング機構を用いたアナログ・ターンテーブルが発表されてからは、ハイエンドユーザーにも支持され、その地位を揺ぎ無いものとした。(画像1、DELPHI Mk5)
そして、私がCDプレイヤーとして、最も魅力的だと感じたモデルが「CD2500」(現在はMk2が販売中)である。
画像1のとおり、一見はCDプレイヤーには見えない無垢のアルミニウムから削り出され、造型された近未来的彫刻の様な堂々たるエクステリアである。
この美しいエクステリアはデザインだけでなく、素材や設計等細かな「ORACLE」ならではの拘りが有ってこそ成り立ったものであろう。設計思想には先に登場したDELPHIというアナログ・ターンテーブルが生きている。
透明度の高いアクリル板の上に設置されたアルミニウムの建造物。4本の柱はしっかりとした土台としてCDプレイヤーを支える。この4本の柱は自動車のサスペンションの様に設計されており、本体はこの上に浮かんでいるのだ。これがフローティング機構と呼ばれるものだ。軽量且つ剛性的にも問題無いアルミニウムを採用した大きな利点であると言える。
CDプレイヤーにもフローティング機構を採用した事で、中に挿入したCDは常に水平を保つ。外振動だけでなく内部振動をも吸収する為ブレが無く、音飛びや音の劣化等を防止する。結果理想的な再生を行う事が可能なのだ。
ディスプレイの簡素さもこのデザインの妨げにならない様配慮されたものであろう。重厚なデザインながらシンプルなのだ。
CDの出し入れは上部の蓋を取って行う。普通のCDプレイヤーの様にボタンで開閉する訳では無い。これもアナログ・ターンテーブルから流用したアイデアではないだろうか。余分な電動機構を減らす事がデジタルオーディオでは必須である。電気自体がノイズとなるからだ。メカニズムは「PHILIPS」の「CDM-PRO」を採用、 D/AコンバーターもORACLE独自設計で優秀だ。
当然値段も高い。DELPHI Mk5が\1,209,600、CD2500 Mk2が\1,837,500である。本体のみで、アンプやスピーカーは付属しない。価格的にはやはりBANG & OLUFSENがリーズナブルに感じるが、デザインのみでなく音質にも拘る方には絶対にオススメだ。(無論BANG & OLUFSENの音質が悪い訳では無い。私的には十分満足出来る。)
「McIntosh」のアンプに「B&W」のスピーカーを組み合わせて‥等は私の夢でもある。最近はまた新しいブランドが多く出ているので、そちらも興味深い。
無駄の無いその佇まいは妥協を許さないORACLEの徹底した「良い音を出す為」のみに考え出された結果でありその結晶である。造形美だけでなく機能美も持ち合わせている。
皆もORACLEの深淵な世界に浸かってみてはどうだろう?外界とは違う、自分の内なる世界に気付かされるかもしれない。