私は幼い頃は、虫も平気だったし、学校では飼育係をしていたりと結構生物が好きだった。現在は実家にも犬を2匹飼っている。
しかし、大人になるにつれ、生物を飼う事の大変さを知る様になった。命を自分で扱う甲斐性‥植物でさえ直に枯らす今は、まともな生物の世話など出来る訳が無い。
しかも今はアパート暮らしである。動物を飼うには、臭い、環境、勤務体制、そして費用と様々な問題が付いてくる。
結論、今の私では生物を飼育する事が不可能‥だと思っていた。
しかし、その不可能が可能になるアイテムが発売されていたので紹介しようと思う。
「BEACH WORLD」(画像1)。アメリカの「PARAGON」社により開発され、イタリアの「GLOBUS」社によって現在販売されている。
見た目はガラスの水槽だ。
しかし、中身はなかなか興味深い。地球上における全ての生物の生命の源である海水とほぼ同成分の液体と小エビ、藻、バクテリア等を入れ完全密封したガラス球なのだ。
密閉された閉鎖空間の中では「クローズドエコシステム(完全閉鎖生態系生命維持)」によって、光合成と食物連鎖というメカニズムを再現してあるのだ。決して外には出る事の出来ない小さな地球で、藻は光合成を行って小エビが生きる為に必要な酸素と食物を提供し、小エビは藻の栄養源となる二酸化炭素を提供するという生命のサイクルを観察する事が出来る。
これは元々、1991年にアメリカで行われた「BIOSPHERE」と呼ばれる実験が基になっている。
大きさの違う2つのBIOSPHEREをそれぞれ地球と小さな地球と位置付け、地球環境保護と、将来可能になるであろう地球外移民の為のシミュレーションを目的として閉鎖された空間で、24ヶ月に及ぶ実験が行われた。
BIOSPHEREは1993年にNASAのスペースシャトルによって地球を16日間周回した後、ロシア宇宙ステーション「Мир(ミール)」の中でも実験が行われ、未来の人類の生活環境をシミュレーションしたらしい。
その技術や構想がBEACH WORLDとなった訳である。NASAにより実験された事を証明する証として、付属するガラスクリーナーには「Tested BY NASA」と記載されている。
ではBEACH WORLDの説明に戻ろう。
小エビは3~5年程度生きる想定だが、環境によっては当然寿命に差が出る。例えば激しく揺らすと「大地震」等が発生した事と同様である。当然小エビは早く死滅するだろう。地球はひとつの生態系であると同時に生命そのものである。大切に取り扱う必要が有る。
密閉されている為、私達が手を加える必要は殆ど無い。水の交換も餌も必要無いが、一日6時間程度の蛍光灯の光が必要だ。光合成が行えない。ただし、理想の温度が13℃~27℃の為、温度が高くなる直射日光やハロゲンランプは使用しない事。寒い等は別売りのヒーター等も活用する方が良い。(画像2)
ガラスはイタリアのガラス職人によって作られ非常に優美だ。インテリアとしても優れていると思う。ガラスの形状は球型(画像1)とドーム型(画像3)、卵型(画像4)がラインナップされている。
小エビはBEACH WORLDのサイズによって5匹から15匹前後生息している。基本的に繁殖は考えられてないらしいが‥
小エビが全滅したら有償で新品と交換してくれるらしい。6ヶ月以内に適切な環境下で全滅した場合は価格の30%で、それ以外は60%との事。
価格は一番安価な小さいモノで、\36,540。一番高価な大きいモノで¥120,000である。先程述べたヒーターは\3,990。
手間もあまり掛からず、スマートなスタイルで部屋を汚す事も臭いも無い。狭いアパート等でも十分に飼育出来るだろう。
貴方も優しく慈しみながら、小さな自分だけの地球を愛でてみては?その地球では住人である小エビが泳いだり食べたり休んだりと可愛らしい姿を見せてくれる事だろう。その姿に癒されるのも良し、地球の未来について真剣に悩んでみるのも良し、一つのドラマとして毎日を楽しむのも良し。忘れていた探究心と生物を愛でる気持ちを思い出させてくれるだろう。(画像5、イメージ)