同人からスタートし現在は様々なメディアに進出しているゲーム界の時代の寵児であろう。
それも小説である空の境界から続く「奈須きのこ」氏の一貫した世界観があればこそだと思う。これらの作品は自身の過去の作品のオマージュでありながらも、それぞれがリンクしており、登場人物や設定は引き継がれている。
空の境界から月姫、そしてFateに到るまでで奈須きのこ氏が作り上げた設定の代表的なものが、「魔法と魔術の違い」である。
魔術とはその時代の技術力・財力・時間等を制限をしなければ実現可能な現象を、魔力(あるいは科学等では説明できない神秘)によって再現する行為、またその能力を指す。
魔法とはその時代の如何なる技術力・財力・時間等を費やしても実現不可能な現象を再現する行為、またその能力を指す。
例をあげると、爆発という現象はダイナマイトによって誰でも再現出来るが、それを魔力によって再現する事を魔術とする。しかし時間の逆行や平行世界への干渉等は現在は不可能である。そういった奇跡的な現象を再現する事が魔法である。
故に昔は科学が進歩していない為「魔法使い」は沢山存在したが、科学技術が進歩するにつれ、魔力によってのみ引き起こされる現象が少なくなり現在は魔法使いは殆どいなくなった、と設定されている。
このような細かな設定が生きているので、新たな作品を見る度に過去の作品の記憶が蘇ると共に繋がりに思わず微笑を浮かべてしまう。
そして、この奈須きのこ氏が作り上げた世界を一つに纏めたゲームが、「Werk」より制作販売されている「BattleMoonWars銀」である。
TYPE-MOONのこれらの作品に登場するキャラクターが総出演する同人ゲームだ。
この考え、何かに似ていないだろうか?・・そう、「スーパーロボット大戦」シリーズである。
スーパーロボット大戦は「マジンガーZ」、「ゲッターロボ」等の「永井豪」作品から初代ガンダムから現在の新作ガンダム、その他様々なロボットが登場し、巨大な敵に力を合わせて挑むシミュレーションゲームだ。マジンガーZなら「ブレストファイヤー」、ゴッドガンダムなら「爆熱ゴッドフィンガー」と必殺技を美麗なCGで再現してあるのが嬉しい。機体やパイロットにも特徴があるので楽しい。思い入れが深いキャラクターを自分好みに強化する等遣り込み甲斐のあるゲームだ。
この同人ゲームBattleMoonWars銀も同人という特性を生かし、ゲームシステムはまさにスーパーロボット大戦そのままである。(機体とパイロットという概念は無いが。)
ゲームや小説で使った技がスーパーロボット大戦風に再現されている。精神コマンドもちゃんと存在し、キャラクターに合わせてスーパー系(マジンガーZのような硬く直接攻撃に優れたタイプ)とリアル系(ガンダムのように脆いが俊敏で回避率が高く遠距離射撃が優れたタイプ)の設定もあり、例えばFateの「セイバー」やはスーパー系、月姫の「遠野志貴」はリアル系である。
スーパーロボット大戦が好きでTYPE-MOONも好きなら絶対にお勧めである。
シナリオもよく練られており、奈須きのこワールドを巧く統合し表現している。スーパー系とリアル系それぞれのオリジナルキャラクターが主人公なのだが選択した主人公によって話が異なるので最低でも2回は楽しむ事が出来る点も嬉しい。どっぷりTYPE-MOONの世界に浸かる事が出来る。
注意事項だが、現在は第三部まで販売されている。第四部で完結らしい。基本的に第一部から第四部まで話は続いており、順にインストールしないと起動しない。
話は変わるが空の境界が映画化され、12月1日より上映開始する。是非見たいものだ。
画像は、
画像1、BattleMoonWars銀 第一部
画像2、Fate/stay nightの名シーンが・・?
画像3、シミュレーションマップ
画像4、約束されし勝利の剣