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ギリシャ文字で「究極(終)」を表す「Ω」を社名とするOMEGA。1848年にルイ・ブラン氏により創立。OMEGAの時計は、NASAに公式採用されたりオリンピックの公式計時に選ばれたりとその精度や耐久性に関する信頼は非常に厚い。
現在のOMEGAの最大の特徴と言えば独自の脱進機である「CO-AXIAL」だろう。イギリスの時計師であるジョージ・ダニエルズ氏が発明した、3本ツメと同軸に2枚の歯車を持つガンギ車からなるCO-AXIAL脱進機。現在は新型脱進機の開発に各ブランドが心血を注いでいる。OMEGAは当時どのブランドも採用しなかったジョージ・ダニエルズ氏のCO-AXIALに唯一目を向けたブランドである。1999年、遂にCO-AXIAL登載の腕時計「DE VILLE CO-AXIAL」を発表。脱進機戦争を予見した一歩先行くOMEGAの先見性が伺える。

ジョージ・ダニエルズ氏は「Breguet」に影響された時計を数多く製作している。勿論CO-AXIALを採用しているものも多い。しかし値段は非常に高額である。現在CO-AXIALを持つ時計を手に入れるとすればOMEGAでなければ手が出ない。

そして改良を重ねほぼ最終形となったCO-AXIALを用いた新たなムーブメントをOMEGAは30年振りに発表。これからのOMEGAを担う新たなベースムーブメント「cal.8500」系の誕生である。このムーブメントを登載した新作こそ「DE VILLE HOUR VISION」だ。(画像1)

先日ようやく実物を拝見したが、流石はOMEGA珠の品。素晴らしい完成度だと思う。

ケースはSSと18KRGの2種で41mm。オーソドックスながらもラグやベゼルなどが綺麗に纏まっていると思う。シースルーバックから新型ムーブメントを拝む事が出来るだけでなく、側面までシースルー化し、サイドからもムーブメントを見る事が出来る。(画像2)まあ、側面はツインバレルを確認出来る程度だと思うのであまり意味は無いと感じるが、これだけのシースルー化を施しても非ねじ込み式竜頭での100m防水を実現しているのは驚きだ。
文字盤も派手では無いが特徴的で、作りも細かい。時分針はヘアライン状のマットな仕上げでなかなか味がある。秒針は青針(青塗り針)のモデルが良い。
レザーが似合うと思っていたが、ブレスレットも完成度が高く驚いた。マットとポリッシュに仕上げられた9連のコマが美しく並び、腕に付けても違和感が無い。ブレスレットのデザインも良く、レザーと遜色ないドレッシーさだ。また、ブレスレットもレザーもバネ棒部が露出するように加工してあり、取替えが容易に行える工夫がなされている。どちらも似合う時計なので季節毎に使い分けるのも良いだろう。
ブレスレットバックルにはSSモデルでも18KのRGでΩのエンブレムが付ける拘りよう。

メインのムーブメント(画像3)だが、綺麗なスクリュー状の仕上げがなされている。この磨き方は初めて見たがなかなか美しい。
ツインバレルによる60時間のパワーリザーブ、一風変わった毎秒7振動=25200bphである。CO-AXIALの影響なのだろうか?何故7振動を選んだかは不明だ。
黒くコーティングされたフリースプラングのテンプをダブルブリッジで支える。テンプの形もスクリュー状になっているので動作が新鮮だ。勿論COSC公認のChronometerである。
自動巻き機構のローターに関しても軸受けにジルコニウムを採用したという。残念ながらジルコニウムを使用するとどういった利点があるかは解らないが、磨耗には強そうだ。
このムーブメントは今後、OMEGAの時計の殆どに登載して行く事を計算に入れ、基本性能が極めて高く安定しまた発展性も考慮したベースとなるに相応しいモノだと感じた。

シンプルな3針デイトながら、見所満載の美しい時計DE VILLE HOUR VISION。今までのOMEGAとは違う新生OMEGAと呼ぶに相応しい性能だ。価格はSSブレスレットで\735,000。OMEGAと考えると3針のSSでこの値段は高く感じるかもしれないが、新生OMEGAの新型ムーブメントと考えるとむしろ安いのではないだろうか?社運を賭けたモデルらしく作り込みも素晴らしい。これまで拝見したOMEGAの中で最も良いと思う。

皆も是非一度拝見してみて欲しい。新たなOMEGAの魅力を感じる事が出来るだろう。そして、これからこのムーブメントをベースとしてモジュールを追加した派生モデルを次々生み出すと聞く。期待は膨らむばかりだ。