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現在、私が「時計師」で知る限り最も独創的で最も美しい時計を製作している方が「クリストフ・クラーレ」ではないかと思っている。
無論私の知識のみの個人的評価なので、私の知らないもっと素晴らしい時計師もおられるかもしれない。日本に入ってきていない情報も沢山ある筈だ。
また技術的には、フランク・ミューラー氏やフランソワ・ポール・ジュルヌ氏、アントワーヌ・プレジウソ氏、ミッシェル・パルミジャーニ氏、フィリップ・デュフォー氏、ダニエル・ロート氏等凄い方は大勢おられる。
しかし、私の知る限りで(私にとって)一番興味を引く時計を沢山製作しておられるのがクリストフ・クラーレ氏に間違いない。
トゥールビヨン製作を得意とし、またリピーターの第一人者としても名前を馳せている。

現在は個人ブランド「Christophe Claret」を立ち上げたようだが、その卓越した技術で、様々なブランドのグランドコンプリケーション製作に携わっている。
唯のグランドコンプリケーションではない、何処かしらユーモアに溢れた作品で金に余裕があれば是非とも欲しいと思わせる。(宝くじが当たったから買えるというものでもないが。)

特に私の目を引いた作品を数点紹介しよう。これらは殆どが限定販売の為もう手に入らないものもあるかもしれない。

まずは、クリストフ・クラーレといえば「HARRY WINSTON」の「OPUS4」(写真1)。
両面時計で、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、ビッグムーンフェイズ、ポインターデイトを持つ。
他のOPUSと比べるとパッと見シンプルだが、非常に美しいと思う。当時の価格は\57,750,000であったが・・価格改正とプレミアも付いているかもしれない。

続いて「GRAHAM」の「KING GEORGE」(写真2)。
トゥールビヨン、ミニッツリピーターを持つスプリットセコンドクロノグラフである。クロノグラフ作動時や停止時もハンマーで音が鳴る。クロノグラフの中で詳細を知る前に一目見て欲しいと思ったモデルだがとんでもない代物だった。値段もとんでもない。\68,250,000。

3つ目が「de GRISOGONO」の「OCCHIO」(写真3)。
2針のミニッツリピーターである。この時計の最大の魅力はリピーターを作動させた際に、文字盤がカメラの絞りのように開き、表面までをスケルトンにしてリピーター作動時のムーブメントの動きを見せてくれる。終わるとまた閉じて元に戻る。普段は比較的大人しいデザインなのが特に良い。ベゼルデザインもカメラっぽい。残念ながら価格は不明。

最後が今年「GIRARD-PERREGAUX」が発表した「Vintage 1945 Jackpot Tourbillon」(写真4)である。
GIRARD-PERREGAUXのアイコンでもあるゴールドブリッジを使用したトゥールビヨンにスロットマシーンを取り付けた。右側のレバーを引くとリールが回転する仕組みなのだが、リールの作動でチャイムが鳴る。KING GEORGEの技術の応用だと思われる。遊び心満載の時計で、ケースも豪華。蓋を開けると時計がライトアップされる仕組みとなっている。またチップ等も付いてくる。\61,950,000。

このように唯の複雑時計ではない、+αのギミックが非常に興味をそそるのだ。流石にこれらは残念ながら実物を拝見した事が無い。是非とも実物を拝んでみたいものだ。

トゥールビヨンが珍しくなくなってきた今日、複雑時計の次のステージは「高額な玩具」に移行するとフランソワ・ポール・ジュルヌ氏が予言した。
この予言は的中だと思う。PATEK PHILIPPE等の老舗のトップブランドはともかく、実力とアイデアを誇示し、時計に新たな可能性を見出す事が時計ブランドのランクアップに繋がる事は間違いないだろう。
クリストフ・クラーレ氏のように「音」に拘って作品を作るのも面白い。このような魅力的な時計が今後も生み出されて欲しいものだ。
貴方ももし余裕があれば、遊び心と天上の調べと言われるミニッツリピーターを身に付け愛でてみてはどうだろう?購入された方は是非とも私に拝見させて頂きたい!