煌びやかな魚を眺めているだけで刻が経つのも忘れてしまう。私も魚が好きで熱帯魚を飼ってみたいのは山々だが、設備費に維持費ととにかく金と手間がかかる。折角の熱帯魚を不注意や怠慢で殺してしまったのでは飼い主失格だ。今のところ熱帯魚を飼ったことは無い。
・・という訳もあり私は水族館が好きだ。大阪の海遊館には何度も足を運んだ。
海遊館には様々なフロアがあるが、私のお気に入りは海遊館最深部にある「ふあふあクラゲ館」だ。可愛い名前のフロア名だが、毒をもつクラゲが数えきれない程泳いでいる。しかしその透明で独特な柔らかさを持つクラゲが呼吸をするかのように浮沈を繰り返している様は、何処か自然の神秘と古代の記憶を目の当たりにしているという錯覚を受ける。そして美しい。
クラゲを飼っている方はいるのだろうか?どうやって育てるのかも私には解らない。しかし、その代わりとなる興味深いものを発見した。それが「水韻(すいいん)」(写真1)である。
「それは、こころ和ます不思議なインテリア。何気ない日常空間にくつろぎをもたらす「癒し」のオブジェです。(HPより抜粋。なおURLはhttp://www.deepsea.co.jp/suiyin/index.html)」
アクアリウム・アート水韻は柔らかな人工生物である「浮遊体アート」(写真2)が水中をクラゲのように漂うオブジェだ。その動きは本物のクラゲさながらだ。照明に彩られ幻想美に溢れている。 もちろん作り物なので餌をやる必要もない。たまに水を替えたりする程度だ。私のような無精者には最適だ。
この浮遊体アートと呼ばれる人工クラゲは世界で唯一人奥田英明氏にしか製作することができないらしい。この人工クラゲの体を形成している透明で薄い膜は、医学で用いる人工筋肉の開発途上に発見されたものらしい。限りなく水に近い比重を持つ柔らかいプラスチックが正体だ。そしてこの素材に奥田氏が3日という時間をかけて命を吹き込むのだ。
また、浮遊体アートは「obake」「hotaru」「mint」「santa」「neon」「kingyo」という名前の6種存在し、それぞれが発光する色が違う点も面白い。
しかし、いくら立派な人工クラゲが完成してもそれを活かす水槽がなければ、唯のプラスチックの塊でしかない。水韻は水槽にも拘っているようだ。非常にデリケートな浮遊体アートを滑らかに浮沈させるよう試行錯誤してあるようだ。もちろん美しく魅せる努力も怠っていない。
ブラックライトや1670万色のLEDを使用して、浮遊体アートが艶かしく光る状態を演出している。
濾過フィルタで水の透明度を保ち、透明度の高いアクリルを用いることであたかも空中にクラゲが漂っているような錯覚を起こすほどらしい。
水槽のサイズも様々で大きい方から「六〇式」「三五式」「七〇式」「五〇式」「三〇式」となる。さらに普及用の「Art-mini」という市販の水槽を独自に改造したものもある。
この中でも私は「三〇式」(写真3、4)が気に入っている。丸い窓にヘアライン加工を施されたSSが重厚感と深海の清涼感を演出している。2~3体の浮遊体アートを入れると丁度良いサイズだ。潜水艦の窓から深海を眺めるとこのような発光する生物が見られるのかもしれない。
値段は、
六〇式 \2,373,000
三五式 \900,000
七〇式 \625,000
五〇式 \378,000(SCLEDモデル) \399,000(FCLEDモデル)
三〇式 \152,250
Art-mini \15,120
そして浮遊体アートは6種とも1体\15,750である。
自分の部屋にも良いが会社のロビーにも大型の水槽のものを設置すれば、皆の癒しとなるだろう。齷齪働く日本人の一時の心の休息に水韻をお勧めする。(実際に病院等にも設置されているようだ。)
クラゲは「水母」とも「海月」とも書く。どちらもクラゲを表す漢字として素晴らしい。母の胎内を思わせる優しさと海に浮かぶ月が揺らめくような悠久の空間を水韻がもたらしてくれるはずだ。
皆も水韻を眺めてクラゲのように活きてみては。