目薬を点し続け手術実施前、医師よりの最終IC(informed consent)を受ける。
この手術により遠視になる可能性が上がること。(老眼になりやすい。)
視力が回復しない可能性があること。ドライアイ、光が乱反射することがある等。
ドライアイや光が乱反射する状態は慣れと共に治まる(気にならなくなる)ようだ。
もちろん角膜を切開しての手術となるので、当分は眼に強い衝撃を与える事はもちろん、眼を擦ったり、プールに行ったりなども良くない。
視力はまた落ちてくることも考えられる。

無論手術に同意した。そして手術当日。この日は、手術後、自家用車の運転が禁止されるので電車とタクシーを使って病院へ行った。瞳孔を広げるので周りが眩しく運転できないそうだ。

手術用の白衣のようなものを着せられ、手術室へ。私達以外にあと2人手術を受ける方がいた。どちらも女性であった。
手術室の前で待つ。私は2番目だ。2種類の目薬を渡され点眼する。ひとつは麻酔用、もうひとつは瞳孔を広げるもののようだ。基から目が悪いが更にボケた映像になる。

1人目の女性が手術完了しいよいよ私の出番だ。かなりの緊張と恐怖がある。広い部屋に派手な手術用の大型機械が1台置いてある。
寝て、顔に眼の部分だけ穴の開いた紙をかける。手術が始まるとまず眼窩を機械で広げられる。開瞼器というらしい。何か動いているのはわかるが何をしているかはわからない。この眼窩を広げるのが骨に当たる感触がして痛い。その後洗浄され、眼球を吸引されたようだがよくわからない。視界がブラックアウトする。レーザーで角膜のフラップ(薄い表層)を切開し、角膜実質にレーザーを照射しているらしい。十秒程度の間隔で何度か当てられたと思う。このときは眼の中に火花が散っているような感じだ。麻酔の所為か全く痛くない。眼を広げられている方が余程気になる。フラップを戻し(見えないのでわからない。)しばらくして、開瞼器も外され片目終了。すぐに反対の目の手術が始まる。
同じ作業が続くが、一度経験した事なので、案外気楽であった。痛みもほとんど無いしリラックスして医師に身を任せる。気が付くと手術は終了していた。特に問題もなくスムーズにいったらしい。時間的には片目10分程度で済んだようだ。しかし、瞳孔が開いている所為かよくわからない。
約3時間程眠らなくてはならないようだ。ベッドに行って仰臥位になる。痛みはない。後で嫁が手術を終えてきたが、もちろん成功だったようだ。しかし眼は痛いと言っていた。もう良く見えるとも言っていた。
3時間経過。眼を開けてもそれ程はっきり見えない。まだ瞳孔が広がっているのだろう、かなり眩しい。
嫁はだいたいクリアに見えるようでかなり感動している。
タクシーと電車を乗り継ぎ自宅へ向かう。結局その日はよく見えるという感動が無いまま過ぎて行った。

次の日は術後診断。ここからまた消毒用の目薬と私の場合花粉症の目薬を点眼し続ける日々が始まる。
手術経過は良好のようで、視力は1.5を見ることができた。しかし、現在なお続いている症状だが、確かに眼鏡が無くとも見えるが、ピントが合うのに時間がかかるのだ。光の乱反射の症状もある。夜、信号機の光や車のテールライト、ヘッドライトが広がって見えるのだ。喩えて言うなら月が笠を被るような感じだ。(医師曰く慣れのようで、流石に1年くらいで気にならなくなったが。)嫁はそのような症状は無くとても見やすいと喜んでいた。しかし、眼鏡の無い生活というのも当初は違和感があった。暫く伊達眼鏡を使用した程、眼鏡は私の身体に溶け込んでいたのだ。今でもサングラスはもちろん、伊達眼鏡もファッションとしてたまに利用している。

さて、手術前の検査も多かったが手術後の定期検診も多い。何度も何度も病院に足を運ばなくてはいけない。しかも腕が確かな証なのだろうが、LASIKに関係なく眼科の患者が多い。朝9時に病院に到着して、診察に3時間待ちということも何度かあった。手術は一瞬のようなものだが、それ以外がとにかく長い。半年経って、病院に来る必要が無くなった。これで一応私達のLASIKは成功という形で終了した。
手術前は恐怖が大きかったが、いざ手術を受けてみるとやってよかったと本当に思う。近視だけでなく乱視もある程度矯正できるので右目と左目の差がある方は是非手術を受けてみてはどうか。コンタクトレンズが合わない方もお勧めである。

最後に費用だがここだけの話、保険はきかない。しかし、保険によっては手術に対しての一時給付金が出る場合がある。私も嫁もこれでかなりリーズナブルになった。手術の一時給付金は、保険によってもまちまちだとは思うが、入院給付金の10倍だと思う。眼鏡を購入するくらいの金額で手術を受ける事が可能なのだ。まあ保険の担当者によく話を聞いてみて頂きたい。

このLASIKを行った事で、改めて見えるという当たり前の大切さがわかった。皆も眼を大事にして頂きたい。