働き始めて、やはり機械式の時計が欲しくなり、さらにローンも3年くらいは金利がかからないなどの情報を得ることによってようやくまともな腕時計に手が出せるようになってきた。(で、貯金中なのだが)
しかし、私は機械式が最高という訳ではない。クォーツにはクォーツの良さもある。それを見直す為にもいくつか所有している時計を紹介してみたいと思う。
今回は仕事でも使っている現在一番永く愛用中のSEIKOの時計について。
私はデジタルも持っているが、基本的にはアナログ、つまり針が付いた時計が好きだ。しかし性能ではデジタルに勝てるものはないだろう。値段を考えてみて一番お得なのはソーラー充電方式を持つ電波時計のデジタルウォッチだろう。G-Shockなどは日常使用するには頑丈だし最高だと思う。
デジタルはクロノグラフ、アラーム、タイマー、カレンダーなど機械式では高額な機能が盛り沢山でしかも安価。では、それをアナログ(針)で表現するとなるといったい何本の針が必要になるのか?
カレンダーを全てギッシェ(窓)にて表現してもクロノグラフ等はどうしようもない。非常に複雑な文字盤を持つモデルになるに違いない。
しかしSEIKOはその複雑な機能を3針とデイト表示のみで可能にしたモデルを10年程昔に販売した。
それが「SUS 6M26」である。その運針に魅せられて即買いをした一品だ。
この時計、写真のとおり、センターの3針で、4時と5時の間にデイトがギッシェで表示されている。ドライブウォッチなのかプッシャーが左側に付いている。よく見ると扇状のギッシェ6つ、円形を作るように文字盤に存在している。そのひとつが赤色になっている。
ギッシェにはそれぞれTIME・ALARM ON・ALARM SET・TIMER・CALENDAR・CHRONO. →0←と表示がある。
この赤色が竜頭を回すことによって隣のギッシェに移動するのだ。
その赤色が示すものが現在選択中の機能である。
例えばTIMERを選ぶと全ての針が自動的に12時を指す。プッシャーで計りたい時間を設定しスタートすると針が逆周りに回り始めるのだ。設定した時間になると12時に戻り電子音で知らせてくれる。
CALENDARは全ての針が現在の「月」を指す。これはあまり意味がないような気もするが一応針とデイトのギッシェで「月日」を表示できるようになっている。
ALARM SETで時間を設定し、ALARM ONで使用していると設定した時間でアラームがなる。通常のTIMEはALARM OFFの状態だ。
そしてこの時計で最も価値のある機能がクロノグラフだ。CHRONO. →0←を選ぶと全ての針が12時を指す。プッシャーでスタート・ストップ・リセットを行うのは通常と一緒なのだが、秒針は1/10秒を分針は1秒を、時針は分を表示する。そして秒針の計測する1/10秒は12時から2時間の長い目盛になっている部分で表示される。2時でちょうど1秒を示し(2時は10秒なのでその間を1秒で動く。)再び12時に戻る往復運動を繰り返すのだが、この動き、つまりはレトログラードなのだ。
文章では非常に説明が難しいが、1/10秒をレトログラード表示するクロノグラフと考えて頂きたい。昔の私はこれでやられてしまったのだ。というか今でも気に入っているのだが。
またTIMEの状態でプッシャーを同時に2秒押すとデモンストレーションというモードになる。分針が右回りを始め時針が左回りを始める。時針が90°動く毎に秒針が12時位置で左右に60度振れるという奇妙な動きを繰り返すのだ。いきなりこの動きを見たら間違いなく「壊れている」と思うだろう。
この「SUS 6M26」だが、更に遡ると「SEIKO Speed master」というモデルで同じムーブメントが搭載されていたようだ。また「8M25」という2針で多機能を求めたモデルも存在するらしい。流石はSEIKOである。
3針という時計の限界に挑んだ時計ではないかと感じている。それ以降はこの時計より「面白い」時計は見たことが無い。機械式では実現不可能なクォーツならではの味を楽しめる時計だ。