昨日9月23日と本日24日、富山県でも有名な和菓子屋「中尾清月堂」で、700円以上お買い上げの方に上生菓子のプレゼントをしていた。前回も頂いたのだが、今回も手に入れようと思い、足を運んだ。
この中尾清月堂の菓子だが、結婚したときに仕事場などに引き菓子として、「雪牡丹(写真1)」を持って行った。紅白の雪牡丹は、その幻想的な風景に詩興をそそられて創製された菓子らしい。祝いの席にふさわしい紅白の皮はふんわりとやわらかく、表面に砂糖が施されている。中にはまろやかな黄身餡。淡白でありながら奥深い味わいが広がる。というように富山に住んでいると慶弔時等に何かとお世話になる店だ。(HPはhttp://www.yukibotan.co.jp/)
こういうサービスの日は何処でも渋滞に見舞われるものである。珍しく休日に早起きし、嫁と共に中尾清月堂へ向かった。しかし、着く前から既に道路は込み始めていた。店に近づくにつれ車も動かなくなってくる。(とはいえ、都会の渋滞とは比較にならない軽いものだが)店の前には店外まで長い行列が出来ていた。殆どが中年以降の客であった。やはり若い方はあまりこのような和菓子に興味が無いのだろうか?どうせなら、興味の無い世代にプレゼントすることで興味を持ってもれえれば良いと思うのだが‥。
店内はというと、大勢の中年女性客のパワーで店員がタジタジになっていた。列を並ぶという常識も欠如している方が多々おられる。人がしているから自分も、という考え方ではなく「人の振り見て我が振り直せ」という謙虚さが必要ではないだろうか。特にこのような日本の侘び寂びに溢れた美しい和菓子を扱う老舗に来ているのだ。風情がない。
私の食べたい「清月(どら焼)」と嫁が食べたい「よもぎ饅頭」を購入(写真2)、無事上生菓子のプレゼントを頂いた。どちらも美味しく頂いた。
今回頂いた上生菓子は「平安恋物語」の命題で、源氏物語に出てくる和歌になぞらえて花々をテーマに製作されたものだ。写真3はその外箱である。
紫草 「手に摘みていつしかも見む紫の根に通ひける野辺の若草」
源氏は京都北山の寺で、藤壷によく似た愛らしい少女に出逢う。源氏はこの少女(若紫・藤壷の姪)を引き取り藤壷へ想いを慰む。
紅花 「懐かしき色ともなしに何にこの末摘花を袖にふれけむ」
源氏は契りを交わした常陸宮の姫君が紅鼻をしているので、紅花とかけて詠んだ。
菊 「もろともにおきゐし菊の朝露もひとり袂にかかる秋かな」
紫上を失った源氏が、孤独を菊の花に降りた朝露に託して詠んだ。
山吹 「おもはずに井出のなか道へだつともいはでぞ恋ふる山吹の花」
玉鬘を想う源氏が、山吹の花にその想いを込めて詠んだ。
夕顔 「心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花」
六条御息所の御邸に通いの途中、源氏は白い花に目を留め所望、その家の女童が、扇に花を乗せ差し出す。その扇に書かれた和歌。
それぞれの花と歌が説明文に書かれている。(写真4)
この5つが今回綺麗に細工された上生菓子として、私達の目を楽しませてくれた。(写真5)
歌に想いを馳せながら頂こうと思う。