






マリオ・ボッタ氏は1943年4月1日にスイスのティチーノ州で生まれた建築家である。故郷のティチーノ州はもちろん、スイス各地で精力的に様々な建築物を生み出している。その中でも有名なものがマッジア谷の「サン・ジョヴァンニ教会」(写真1)だろう。スイスに行った時は、時間に余裕がなく訪れることができなかったが、この美しい教会は一見の価値があるだろう。もしまた行く機会があれば是非とも足を運んでみたいところだ。
彼は現在では世界中で活躍している建築家のひとりとしてその名を知られている。サンフランシスコ近代美術館(写真2)等も手掛けている。また、建築だけでなく様々な商品のデザインも手掛けるようになった。
今回紹介する「CARAN d'ACHE」の万年筆「Mario Botta」(写真3、4)も当然マリオ・ボッタ氏本人が設計を手がけ、バウハウススタイルを忠実に採用した円筒型のミニマリズムなデザインの大変美しいペンである。銀メッキ、ロジウムコーディングを施し、鏡面仕上げされたボディは眩いばかりだ。しかしこのシンプルなデザインを独自のものへ昇華させているのが、キャップに取り付けてある孔雀の羽根であろう。この羽根は本物のインド孔雀の羽根を使用している。洗浄し100℃の加熱殺菌処理を施したものらしい。
すなわち、このペンの本領は胸に挿したときだ。銀色に輝くクリップとその上の孔雀の羽根が襟元を豪華に演出してくれる。レセプションでは間違いなく殆どの方がその羽根に興味を持たれるに違いない。「CARAN d'ACHE」と「マリオ・ボッタ氏」の薀蓄を語りながら仕事の話を交えれば、貴方の顔は確実に記憶されるだろう。
さて、CARAN d'ACHEは「新婚旅行5」でも投稿したが、スイスの筆記用具ブランドである。最近では「S.T.Dupont」や「DUNHILL」と並んで、様々な男性用の製品を販売している。スイスの繊細で精密な技術はCARAN d'ACHEにも生かされ、そのブランドの地位を揺ぎ無いものとした。
だからデザインだけでなく筆記用具として「Mario Botta」は一流の品だ。ペン先ももちろん18k。インク充填方式はコンバーターとカートリッジ兼用の両用式で使い勝手も良い。
余談になるが、CARAN d'ACHEは「Maison de Haute Ecriture」という新しいカラーインクコレクションの販売を開始した。(写真5、6)独自に染料を精製し、地球上にある自然をテーマにした色彩豊かなインクだ。色で自分の気持ちを表現する事をコンセプトとした。インクの色を明確に確認できるよう、インクビンはイタリア製のクリスタルガラスを使用。キャップはCARAN d'ACHEのシンボルでもある六角形になっている。透明感のあるビンと中のインクのコントラストもなかなかで、各カラーの名称も面白い。サフラン(光輝く感情を託して)、グランドキャニオン(雄大な自然に魅了されて)、サンセット(誘惑的な快楽さを)、ストーム(強い欲望を解放って)、ブルーナイト(深く神秘的な夜を夢みて)、ブルースカイ(青空のもとでの想像力を膨らまして)、カリビアンシー(雑踏から逃れて癒しのひとときを‥)、アマゾン(自然の探求に心を奮い立たせて)、カーボン(深く情熱的なストーリーを好んでみては)と9色販売中だ。それぞれ\2200。
「Mario Botta」ような万年筆から、独特な色彩のインクで文字を書くのもオツなものだろう。
では「Mario Botta」に話を戻そう。この万年筆の特徴であり、象徴でもある孔雀の羽根。レセプション等で使用するには良いが、普段は邪魔にならないだろうかと不安であった。しかし心配は無用。羽根はマグネットで固定されているため取り外しが可能だ。羽根は、取扱いには注意を要し場合によっては慎重に乾燥させる必要がある。しかし特別なメンテナンスはいらないようだ。
ケースに飾ってよし(写真7)、使ってよし、身に付けてよしの万年筆、貴方も如何だろう?定価は¥240,000である。