これがまた、ミツバチやスズメバチなどで有名なハニカム構造の蜂の巣ではなく、土を固めた簡素な造りだ。しかし、その巣作りは一匹で行っているようだ。飛んで行っては帰ってきて何かを行っている。
蜂をじっくり眺めてみると凄くグラマーでとても美しいスタイルだった。(写真2)
出るところが出て、引っ込むところが引っ込んでいる。そしてオレンジ色が良いアクセントとなって黒い身体を引き締めている。
さて、蜂ということはわかったが、どんな蜂かはわからないので調べてみた。
結果この蜂、「トックリバチ」の仲間だと思われる。日本に生態を確認されているもので8種が生息しているようで、間違っているかもしれないが蜂と巣の形状から「サムライトックリバチ」ではないだろうか?
詳しい方よろしければ解答をお願いしたい。
トックリバチは、体長は1.5センチほどでドロバチの仲間である。いずれも土を材料にして巣をつくる。巣をつくる場所や巣の形状は、種ごとに違っている。中には本当に徳利の陶芸品のような形の素晴らしい巣を作るものもいるらしい。
私が発見した時はすでにこの形まで巣が作られていた状態だったので少々残念だった。できれば製作過程を見たかった。たまに、巣の表面を濡らして固めたり(写真3)、巣の入り口に頭を突っ込んで何かをしている。(写真4)飛んできたときは、このように何か固まりを持って来ることもある。(写真5)なかなか興味深い。小学生の子供がいる家庭は、「トックリバチ」を夏休みの研究にしてみてはどうだろう?危害を加えない限りは安全ということだ。
実際仕事場でも、近くで見ても攻撃してこなかったのだが、やはり人間の生活圏に蜂がいると良くないということで可哀想だがせっかく殆ど完成しているこの巣を破壊することになった。当然観察する余裕もないしそのことを知らない客も来る。仕方がないことだ。
普通の蜂の巣と違い、一匹が飛んでいくと巣はがら空きになる。私は安心して留守宅を破壊しようとした。心の中で謝りつつも卵等がみつかれば面白いと思いつつ‥。
巣の入り口を破壊した私は慌てて飛び退いた。相当びっくりした。巣の中には緑色の蜂の幼虫がわんさか蠢いていた。写真は恐怖でピンボケしているが興味のある方は写真6を。私は虫もある程度は大丈夫で芋虫も結構平気なのだが、いきなりでしかも巣から溢れるくらいの数は耐えられなかった。少々トラウマになった。一生「蜂の子」は食べられないだろう。
その後、後輩の手によって完膚なきまで巣は破壊され、下に落ちたであろう幼虫達も大量の水で流されたようだ。冥福を祈る。そしてその親であろう巣を作っていた蜂には申し訳ないが、何処か人間が介入しない安全なところでまた巣を作って、子孫を繁栄させて欲しいものだ。