時計は現代社会においてなくてはならないものだ。しかし、腕時計が必要かと言われると答えはNo!。
時間は携帯電話でも確認できる。では、何故腕時計(特に機械式)が未だに存在し、高額な値段で売買されているのだろう。
「blu」はそのような答えを明確に示した。
時計は時間がわかるものでなくてはいけない。「時計」だから当然だ。しかし機械式の時計は、どう頑張ってもクォーツ時計や電波時計よりも精度が落ちる。だからこそ、職人がミクロの世界で悠久の刻の調整を行い、クォーツの精度を目指している。まさに、「血の通った手」で作られたものだ。それを電池でなく自分の「血の通った手」で動かし続けることに魅力を感じるのだろう。
腕時計は装飾品であり、芸術品であり、工芸品でもあるのだ。それはステータスであり、メモリアルかもしれないし、励みや努力の結晶として人々の腕で輝く。皆、時を計るために買うわけではないのだ。
製作する者にとっては正確さを求める必要があるのだが、買う者には正確さ以上に重要なものが多い。
今回紹介する「blu」の時計は時を計る為でなく、時計を眺めることに特化している。
INFINITYシリーズの「PARIS」(写真1)と「ATOLL」(写真2)という時計だ。
写真を見てもわかるとおり、針が1本しかない。この針は分針で普通に1時間に1周する。
面白いのがこの後だ。時針は分針の周りの「輪」のサファイアが示している。「輪」と文字盤が時刻に合わせて回転し、サファイアの指す位置で時間を表示しているのだ。写真はどちらも10時10分を指している。
まさに宇宙を感じさせる動きだ。分針は自転を時針は公転をして時を刻む。文字盤も銀河や星々の煌き、星雲といった雰囲気を彷彿とさせる。
はっきり言って、一目で時間がわからない。しかし、腕時計の在り方の1つををこのような形で表現した。また、その豪華さで装飾品としても周りを惹き付けてやまないだろう。
この時計、自動巻きのローターもBlu-Orbitと名付けられたムーブの周囲を回転するタイプで珍しいし、作りも面白い。ただ、ローターの回転がぎこちなく感じた。重量を上げ、滑らかな回転になればなお良いと思う。
メンズ・レディースもあり、文字盤も豊富だ。パーティー等に如何だろう。華やかな美しさと、時間に追われずゆったり流れる優雅な一時を演出してくれるだろう。
INFINITYシリーズ \997,500~